HODGE'S PARROT

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現代音楽

パスカル・デュサパン『作曲のパラドックス』

フランスの作曲家パスカル・デュサパン(Pascal Dusapin、b.1955)による『作曲のパラドックス』を読んだ(再読)。この本は、以前も書いたように、コレ―ジュ・ドゥ・フランスの開講講義の講義録で、このときデュサパンはコレ―ジュ・ドゥ・フランスの教壇に…

エリオット・カーターのエスプリ・リュド/エスプリ・ドゥ 

まだ間に合うか──と、アメリカの作曲家エリオット・カーター(Elliott Carter、b.1908)のディスクを一枚取り上げておきたい。ピエール・ブーレーズ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏によるものだ。Carter: Oboe Concerto / Espirit Rude発…

クラシカルでクールなクラフトワークの《ロボット》

前のエントリーの関連エントリーに記した「弦楽三重奏版クラフトワーク」は、クラフトワーク/Kraftwerk の《The Model - Das Modell》というエレクトロポップを、弦楽三重奏という「室内楽の」編成で演奏したものについて書いたのであったが、久しぶりにそ…

「ラチュウミア聴こっ!」を読もっ!

フランスのピアニストで現代音楽を得意としているウィレム・ラチュウミア/Wilhem Latchoumia について書いたエントリーに、NOBOBON さんという方がコメントをしてくださった──NOBOBON さん、ありがとうございます。Piano & Electronic Soundsアーティスト:L…

新しい愛と音の世界へ 〜 マティアス・ピンチャー

サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による冥王星付き《惑星》に付録されていた《オシリスに向かって》(towards Osiris)が、そのアルバムの中でもとりわけ印象的だった、ドイツの作曲家&指揮者マティアス・ピンチャー(Matthias Pint…

ハープとコンピューターによる『B級映画』

ハープが印象的な曲というと、モーリス・ラヴェルの《序奏とアレグロ》やクロード・ドビュッシーの《フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ》の優雅な……ではなくて、なんといってもアンドレ・カプレの《赤き死の仮面》(Le Masque de la mort rouge)──…

キンモ・ハコラの「緑の光線」

涼しげなジャケットに惹かれた──多分、冷ややかな肌触りの現代音楽じゃないかな、と。それに北欧フィンランドのレーベル、オンディーヌ(Ondine、水の精)であるわけだし……。というわけで、キンモ・ハコラ(Kimmo Hakola、b.1958)というフィンランドの作曲…

《包帯を巻くのがわたしのつとめ》 ジョン・アダムズ

John Adams: Shaker Loopsアーティスト:John Adams,Nathan Gunn発売日: 2004/10/19メディア: CD オペラ《中国のニクソン》*1や《クリングホファーの死》*2で有名な──同時に、物議をかもしている──アメリカの作曲家ジョン・アダムズ(John Adams、b.1947)。…

”えすぺれ・ぱんた・ぺろーん” サッポーの歌

ドイツの作曲家ハンス=ユルゲン・フォン・ボーゼ(Hans-Jürgen von Bose、b.1953)の『サッフォーの歌』(Sappho-Gesänge、Songs of Sappho、1983年)を聴いた。Bose:the Night from Bleiアーティスト:Bose発売日: 1993/04/01メディア: CD 『サッフォーの歌…

コリン・マシューズの《ブロークン・シンメトリー》

Matthews: Broken Symmetryアーティスト:Matthews,Knussen,London Sinfonietts発売日: 1996/05/14メディア: CD 海王星までしかなかったホルストの組曲《惑星》に、「冥王星、再生する者」(Pluto, the renewer)を補完して話題になった*1、イギリスの作曲家…

ウィレム・ラチュウミアの「ピアノと電子音響」

Piano & Electronic Soundsアーティスト:Latchoumia, Wilhelm発売日: 2008/05/19メディア: CD まずルックスに惹かれたのが正直なところ。Sisyphe レーベル? 手に取って見ると、ルイジ・ノーノの《…苦悩に満ちながらも清朗な波…》が収録されている。ノーノを…

だれがこの厄介な「春の祭典」を書いたのか〜ヘンリー・カウエル

アメリカにおける「新音楽」(new music)のグル的存在で、ジョン・ケージやルー・ハリソンの師であったヘンリー・カウエル(Henry Cowell、1897 - 1965)のディスクがナクソクから出ている。Continuum Portrait 1発売日: 2005/02/22メディア: CDContinuum P…

だれがこの素晴らしい「リズミコン」を発明したのか

前エントリーで書いたヘンリー・カウエルとレフ・テルミンが発明・製作した、世界初のドラム・マシーン/リズム・マシーンこと「リズミコン」(Rhythmicon)を紹介している「教育的な」映像が、 YouTube にあった。現代音楽およびエレクトロニック音楽に関心…

ティエリー・エスケシュの《影を映す鏡》

現代音楽コーナーで、ルノー・カプソンとゴーティエ・カプソンの兄弟の名前 Renaud et Gautier Capuçon を発見、CDのジャケットに映っている「影」も妙に印象的だったので、そのティエリ・エスケシュの作品集を聴いてみた。Escaich: Miroir D'Ombres / Ver…

ヘルベルト・シュッフのシューベルト&ラッヘンマン

シューマンの《クライスレリアーナ》とラヴェルの《鏡》をカップリングし、その二つの音楽に秘める暗い幻想を精妙に表現したピアニスト、ヘルベルト・シュッフ(Herbert Schuch、b.1979)の待望の新録音が出た。シューベルトとヘルムート・ラッヘンマン(Hel…

マイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』

Tubular Bellsアーティスト:Oldfield, Mike,Piano Ensemble発売日: 2008/04/01メディア: CDクラシック音楽売り場で見かけて購入。あの映画『エスソシスト』のメインテーマとも言うべきマイク・オールドフィールド/Mike Oldfield の『Tubular Bells, Part 1…

フィリッペ・クィントのミクロス・ロージャ

ええと、ヒラリー・ハーンの新譜──シベリウス&シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲──だけを求めてショップへ行ったわけです。 でも ↓ のCDが目に入って、買ってしまいました。そう、いわゆるジャケ買いです。Music for Violin & Piano Sonata Op 40アーテ…

バッハからシュトックハウゼンへ、そしてマトモスへ

面白い動画があった。 Stockhausen called 9/11 'the greatest work of art ever' 一目(聴)瞭然であろう。まずは J.S.バッハから始まりモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス……ラフマニノフ、シベリウス、プーランクで終わる「偉大な作曲家たち」──真…

クセナキスのルボン

ヤニス・クセナキス(Iannis Xenakis、 1922 - 2001)作曲による《ルボン/Rebonds》の映像があった。 Xenakis - Rebonds カッコイイ……。このパーカッションのための音楽《Rebonds (a + b) 》はクセナキスの晩年、1989年に完成された。初めて聴いたのだが、…

ブーレーズを「歌う」ベジャール

Geheimagent さんのエントリーで紹介されている、モーリス・ベジャールによるピエール・ブーレーズ《ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌)》のバレエですが…… これって笑っていいんだよね。《コッペリア》とか《くるみ割り人形》みたいに。(笑)(笑)…

恋するトカゲの哀歌

《ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌)》、《婚礼の顔》と並んでピエール・ブーレーズの「ルネ・シャール三部作」を形成する《水の太陽》の動画が YouTube にあった。指揮はもちろんブーレーズ自身だ。Pierre Boulez - Le soleil des eaux 人間が銃を…

シュトックハウゼン死去

20世紀を代表するドイツの現代音楽作曲家カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)が亡くなった。79歳だった。 Obituary: Karlheinz Stockhausen [Guardian] 合理主義者で、かつ、神秘主義者。そしてブーレーズからビートルズに多大な影…

死はドイツから来た名手彼の眼は青い

パウル・ツェランの《死のフーガ》には衝撃を受けた──衝撃を受けた記憶がある。 彼は叫ぶもっと甘美に死をかなでろ死はドイツから来た名手 彼は叫ぶもっとヴァイオリンを暗く弾けそうすればきさまらは 煙となって空に昇る そうすればきさまらは雲のなかに墓…

カスチェイの凶悪なサウンド

そうか、モーグ・シンセサイザーと言えば、冨田勲がいたのだった。 1969年、大阪万博の東芝IHIのパビリオンの音楽を録音するため大阪滞在中に、訪れた輸入レコード店で、モーグ・シンセサイザー (MOOG III-P) を全面的に用いて作成されたワルター・カーロ…

ドイツのロック音楽 またはクラウト・ロック

ドイツのロック音楽―またはカン、ファウスト、クラフトワーク作者:明石 政紀発売日: 2003/04/01メディア: 単行本 明石政紀の『ドイツのロック音楽―またはカン、ファウスト、クラフトワーク』を読んでいる。クラフトワークぐらいしか知らない僕にとって、ドイ…

カーター・パンの『ダンス・パルティータ』他

Piano Concerto / Dance Patitaアーティスト:Various Artists発売日: 2000/02/22メディア: CD 1972年生まれのアメリカの作曲家カーター・パン(Carter Pann)の作品集を聴く。NAXOS の「AMERICAN CLASSICS」シリーズの一枚で、収録曲は、 ピアノ協奏曲/Pian…

ジョン・チェンのデュティユー

まだご存命だと思うけど、フランスの作曲家アンリ・デュティユー(Henri Dutilleux、b.1916)の「ピアノ独奏曲全集」が NAXOS から出た。快挙である。 演奏は、ジョン・チェン(John Chen)という1986年にマレーシアで生まれニュージーランドで育ったピアニ…

ノーノ『苦悩に満ちながらも清朗な波』 for YouTube

YouTube にルイジ・ノーノ(Luigi Nono、1924 - 1990)の『苦悩に満ちながらも清朗な波/...sofferte onde serene... 』(1976)の映像があった。テープがあるよ、楽譜も見えるよ! 大感激だ!!! Luigi Nono ... sofferte onde serene ... (1/2) Luigi Non…

”ボクハ、オンガクカ、電卓カタテニ” クラフトワーク

ドイツのデュッセルドルフ出身のテクノ音楽ユニット、クラフトワーク/KRAFTWERK(クラフトヴェルク)のDVD『ミニマム-マキシマム/minimau - maximum』に夢中になっている。ボクハ、ドイツ語盤ヲ、カッタヨ。ドイチュランド、バンザイ!ミニマム-マキシマム [DVD]アーティスト:…

ダルムシュタットの音価と強度のモードのポリティックス

現代音楽についてウェブでちょっと調べようとすると、多分ウィキペディアの『ダルムシュタット夏季現代音楽講習会』の解説に出くわすと思う。 だが、ここを見て──書いてある内容は別にして──不思議に思ったことはないだろうか。 そう。「他の言語」のところ…