ゲイ・スタディーズ
佐藤彰一『禁欲のヨーロッパ 修道院の起源』より。「禁欲」というキリスト教修道制に端を発する心性は、何よりもまず、ギリシア・ローマ的価値観に基ずく規範に対する抵抗であり、単に個人的な妄想の克服というよりも一種の文化闘争の色合いを帯びていた。禁…
D・A・ミラーの『小説と警察』より*1。小説(フィクション)というリベラルな空間が、いかに「自由」を生産しているかのように見えながら実際は権力に組み込まれているのではないか。”ミラーの図式では、犯罪者は自分の「自由」を信じて、権力の外部に立って…
フランスの思想家・活動家であったギィー・オッカンガム(Guy Hocquenghem, 1946 - 1988)の『ホモセクシュアルな欲望』(1972)*1における、「男性身体」と「男性のホモセクシュアリティ」についての議論──問題なのはホモセクシュアルな欲望ではなく、ホモセ…
公衆の男子トイレの構造化=建築と、その利用者=保護者(パトロン)の自己反省的=反射的(セルフ・リフレクティヴ)な視線。直立不動(ストレート)で並び立っている他の誰かの宝石=金玉(ファミリー・ジュエル)を監視する/監視されるという二重の見解…
エクリチュールそのものにゲイ的なものを見いだすことは、どの程度可能であり、またどのような意味をもつのか。 『ロラン・バルトを表に引き出す』*1は、当初リチャード・ハワードによるバルトの遺稿集 Incidents 『偶景』の英訳版の序文として書かれた。し…
ゲイのセクシュアリティ、さらにいえば、セクシュアリティのもつポテンシャリティは、それが社会的なものを破壊するというところにこそある。「直腸は墓場か?」でベルサーニは、マッキノンやドウォーキンのセクシュアリティ理解を絶賛し、セックスを非暴力…
レオ・ベルサーニが『直腸は墓場か?』で重要視するキャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンらによるセクシュアリティに対する視点 最近の研究が強調してきたところでは、ジョン・ボズウェルがいうように「美の基準がしばしば男性の原型にもとづく…
iChatGay Blog で紹介されていた、『Save Me』という映画が面白そうだ──何よりもまず「その図像」に目を惹いた。メモしておきたい。 [Save Me (2007) ] http://www.savememovie.com/Home.html http://www.imdb.com/title/tt0772200/ Save me Trailer 『Bosto…
ゲイであることを公言している米国聖公会のジーン・ロビンソン主教/Rev. Gene Robinson が、バラク・オバマの大統領就任式イベントで祝福の祈りを捧げることが発表された。 Gay Bishop Giving Obama's "Pre-Show" Prayer Bishop Gene Robinson on Rachel Ma…
17歳からの聖書の読み方作者: クリスチアンニュルンベルガー出版社/メーカー: 主婦の友社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (11件) を見る 著者はドイツのジャーナリスト。この本は『聖書──本当に知っていなければいけ…
ナンシー・フレイザーの『中断された正義』に同性愛に関する記述があったのでメモしておきたい。ナンシー・フレイザー(Nancy Fraser)は、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ/New School for Social Research(The New School)の政治学・社…