HODGE'S PARROT

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so-netからの移行

2002/10/20 以前に好きだった音楽、小説、映画

So-net の「U-page+」サービスが2021年1月28日に終了する。ずっと放っておいて更新どころかアクセスもぜんぜんしていなかったのだが、終了するとなるとちょっと寂しくなる──というよりもなんかもったいない気がしてきた。『HTMLダグ辞典』を見ながら、すなわ…

『サマードレス』 Une robe d'été /1996/フランス 監督フランソワ・オゾン

15分足らずの短編だけれども、オゾンの才能が十二分に発揮された見事な作品。グルノーブル映画祭グランプリをはじめ多くの賞を獲得した。「短編の王者」に相応しいポエティックで小気味良いコメディだ。とくに印象的なのは、『8人の女たち』で「振付師」と…

『サロン・キティ』 Salon Kitty/1976/伊、西独、仏 監督ティント・ブラス

貞操帯をしろと? 赤十字に参加しろと?ローマ帝国は笑いと歌で世界を征服したのよ。ヒモと娼婦のカップルが帝国を支配する、ハイル・ヒトラー 久しぶりに観たのだが、やはりティント・ブラスはすごい。豊饒で放恣で過剰な映像によってナチスのポルノ性を暴…

『パズル』 Nadie conoce a nadie/1999/スペイン 監督マテオ・ヒル

舞台はスペイン、セビリア。作家志望でクロスワードパズル作成者の青年シモン(エドゥアルド・ノリエガ)に、警告めいた挑戦メッセージが届く。クロスワードパズルに「敵対者」という言葉を含ませろ、と。するとこの「言葉」に触発されたかのように、奇妙で…

『アッシャー家の惨劇』 House of Usher/1960/アメリカ 監督ロジャー・コーマン

低予算、B級ホラーの帝王ことロジャー・コーマン。『アッシャー家の惨劇』は言うまでもなくエドガー・アラン・ポウ原作であるが、どことなくB級の香りが……と言いたいところだが、ヴィンセント・プライスの熱演を始め、なかなか趣のある映像に仕上がってい…

『ドラッグストア・カウボーイ』 Drugstore Cowboy/1989/アメリカ 監督ガス・ヴァン・サント

クールな映像にクールな音楽、そこにクールな男=マット・ディロンがいれば傑作の条件を楽々とクリアーできる。このトライアングルが崩れると、ガス・ヴァン・サントの映画はどうも面白くない。『ドラッグストア・カウボーイ』は、そのトライアングルが見事…

『ゴスフォード・パーク』 Gosford Park/2001/英、米、独、伊 監督ロバート・アルトマン

うゎー、アガサ・クリスティが読みたくなった。あの「感じ」「様式」がたまらない。登場人物のほとんどに動機があるように「見せる」ところなんてまるで『ナイルに死す』みたいだし、懐古趣味は『バートラム・ホテルにて』、悲劇的な因縁は『鏡は横にひび割…

『鏡の中にある如く』 Sasom i en spegel/1961/スウェーデン 監督イングマール・ベルイマン

英語のタイトルは "Through a Glass Darkly" 。ヘレン・マクロイのドッペルゲンガーを扱った推理小説『暗い鏡の中へ』の原題と同じで、これは新約聖書から取られている(フィリップ・カーにも『鏡のおぼろに映ったもの』という同じ原題"Through a Glass Dark…

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』Stranger Than Paradise/1983/米、独 監督ジム・ジャームッシュ

「物語」を語るところから離れて(Words are very unnecessary)、場面と場面の繋がりが切断されて(Come crashing in)、沈黙が支配する(Enjoy the silence by Depechemode)。映画はワンシーン=ワンショットで「その世界」を構築する。 人生の問題の解決は、…

『誘う女』To Die For/1995/アメリカ 監督ガス・ヴァン・サント

ま、ゲイのガス・ヴァン・サントが「ストレート」を売りにした映画をつくるわきゃないな。なんといってもカメラがエロティックに舐めまわすのは、ホアキン・フェニックスのスキニーな裸体の方だし。女の自意識過剰とそれに振り回される男の間抜けぶり。それ…

『クッキー・フォーチュン』 Cookie's Fortune/1999/アメリカ 監督ロバート・アルトマン

ミシシッピーという南部の町を舞台にしたせいか、名物の宗教(狂信)と保安官をきちんとプロモートすることを忘れていない。宗教のプレゼンテイターはイヤなおばさんタイプのグレン・クローズ、保安官はハンサムで優男タイプのクリス・オドネル。もちろん僕…

『出発』 Le Départ/1967/ベルギー 監督イエジー・スコリモフスキ

まさしく詩。その語調は繊細、動的、抒情的、そしてときに冗談めいたアイロニーが飛び交う。「語調」とは映像のニュアンスであり、音楽の語り。ポーランド出身のイェジー・スコリモフスキ監督は、この映画で、青春という儚くも輝かしい「イルミネーション」…

『ミッドナイト・エクスプレス』 Midnight Express/1978/アメリカ 監督アラン・パーカー

アラン・パーカーによるシリアスな社会派ドラマ。脚本のオリバー・ストーンによるグロテスクな誇張があるとしても(ジョルジオ・モローダーの煽るような音楽も)、この映画は実話に基づいている。そしてこの映画が封切られて後、トルコとアメリカでは容疑者…

『ホーンティング』 The Haunting/1999/アメリカ 監督ヤン・デ・ボン

優美このうえないシャーリイ・ジャクスンの小説を、『スピード』『ツイスター』の監督が撮ると、こうなる。つまり、「幽霊」を「実体化」させ、派手に暴れさせる。これは映画として「見せる」場合、仕方ないのだろう。ジャクスンの小説もヘンリー・ジェイム…

『ケレル』 Querelle/1982/西ドイツ、フランス 監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

殺人の観念はしばしば海の観念、水兵の観念を呼び起こす。ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』(澁澤龍彦訳、河出書房新社) まさしく正典、Gay Canon だ。ジャン・ジュネの小説をR・W・ファスビンダーが映画化したこの作品は、ゲイ・キャノンと呼ぶに相応…

『愛する者よ、列車に乗れ』 Ceux Qui M'Aiment Prendront Le Train/1998/フランス 監督パトリス・シェロー

ラスト、カメラが上空から幾何学的な形態の墓地をすうっと駆け抜け、そこにマーラーの交響曲10番が流れる──それだけで、もう、感無量だ。死んだ画家が残した「私を愛する者はリモージュ行きの列車に乗れ」という、謎めいた遺言に従った人々のドラマは、そ…

『アザーズ』 The Others/2001/アメリカ 監督アレハンドロ・アメナバール

女性の魅力にはついては無頓着な僕ではあるが、この映画でのニコール・キッドマンは美しく非常に魅力的だった。スリムな姿態、すらりと伸びた手足、そして透き通るような白い肌。時代もののドレスをエレガントに着こなし、「この世のものと思われない」独特…

『ペダル・ドゥース』 PEDALE DOUCE/1996/フランス 監督ガブリエル・アギヨン

こんな賑やかで楽しい映画は、是非、ジェンダー/セクシュアリティなんていう「色眼鏡」を外して観ていただきたい。とにかくストーリー良し、音楽良し、コメディ・センス良し、そして男のセンス良し、と言うことなし!ビジネスエリートのアドリアンはゲイ。…

『太陽はひとりぼっち』 L'Eclipse/1962/フランス、イタリア 監督ミケランジェロ・アントニオーニ

モノクロームってこともあるだろうけど、あまり「イタリア」って感じがしない。映し出される景色は殺風景な場所ばかり選ばれ、街並みも冷たく人工的なモダーン建築で構成された無国籍風──まるでウルトラセブンの<第四惑星>を彷彿とさせる。そして、ドラマ…

『海をみる』 Regarde la mer/1997/フランス 監督フランソワ・オゾン

英語のタイトルは "See the Sea" 。海のイメージを美しく捉えたこの作品に相応しい。もちろんフランス語の原題 "Regarde la mer" も、美しい響きを持っている。しかもどこか幻想的で神秘的なニュアンスを感じる。それはこの "Regarde" という言葉を聞くと、…

『X-メン2』 X-MEN 2/2003/アメリカ 監督ブライアン・シンガー

コロッサス、カッコイイ! サイクロップスは──大好きなキャラだけど──今回は、ウルトラセブン『史上最大の侵略』のアマギ隊員みたいな役で、ミュータント側に犠牲が出てしまった(さよなら、そしてありがとう、ジーン)。ミスティークは相変わらずだし、今回…

『渦』 Maelstrom/2000/カナダ 監督デニ・ビルヌーブ

同性愛結婚OKのカナダならばこそ、「異性愛/同性愛」をテキトーに「対象化」「分析化」しても、PC(ポリティカル・コレクト)的にOKだろう。で、これは「異常な」「異性愛映画」だ。 大女優の娘ビビアンは、25歳の企業家。しかし、ブティックの経営…

田舎司祭の日記』 Journal d'un cure de campagne/1950/フランス 監督ロベール・ブレッソン

ジャンニ・ホルト演じる若き司祭は、なかなかハンサムだ。ライナス・ローチ演じる司祭(アントニア・バード『司祭』)と同じように犬顔で、華奢な体をシックな僧服で覆っている──そう、僧服はセクシーな男性の制服なのだ。(そういえば、『Our Trespasses』…

『ザ・プレイヤー』 The Player/1992/アメリカ 監督ロバート・アルトマン

これぞ「ハリウッド映画」。 強烈な皮肉と適度な内輪(映画)ネタが抜群に面白い。しかも、展開がスムーズなので、映画的「教養」やメタな構成がぜんぜん鼻につかず、心地よく映画「それ自体」を楽しめることができる(いや、ジュリア・ロバーツやブルース・…

『タブー』 Taboo/2002/アメリカ 監督マックス・マコウスキー

インデペント系の映画情報サイトindieWIREに、監督マックス・マコウスキー のインタビューが載っているように、この映画も、見るからに予算が掛っていないインデペンデント系。そういったことも考慮に入れると、出来の良い作品かどうかは一様に判断し難いが…

『完全犯罪クラブ』 Murder by Numbers/2002/アメリカ 監督バーベット・シュローダー

『運命の逆転』のバーベット・シュローダーで、レオポルド&ローブ事件を題材にしたものなので、もっとデカダンなヤツを期待したんだけどな……。レオポルド&ローブ事件は、1920年代にアメリカで実際に起きた殺人事件。ニーチェ思想の影響を受けた二人の青年…

『ディナーラッシュ』 Dinner Rush/2000/アメリカ 監督ボブ・ジラルディ

傑作。今年のベスト級。レンタルで観たのだがDVDを買いたくなった。そして友人知人に薦めたい。僕はこういう素晴らしい映画が製作されるアメリカを嫌いになることは決してないだろう。舞台はニューヨークのイタリアン・レストラン『ジジーノ』。物語はそのレ…

『スパニッシュ・プリズナー』 The Spanish Prisoner/1997/アメリカ 監督デビッド・マメット

観終った後、冷静に考えれば、ちょっと荒唐無稽だったり、ラストが唐突だったりとケチを付けたくなるが、観ている最中は、逆転、また逆転のコンゲームに有無を言わさず引き込まれていた。さすがは『郵便配達夫は二度ベルを鳴らす』や『アンタッチャブル』の…

『秘密』 Waterland/1992/イギリス 監督スティーブン・ギレンホール

グラハム・スウィフトの小説を映画化した文芸もの。外枠としては、ジェレミー・アイアンズ演じる高校の歴史教師が、反抗的な態度を取るイーサン・ホークを中心としたクラスの生徒たちに、個人的な体験に基づく「歴史=物語」を語り、歴史から「学ぶべきもの…

『アメリカの友人』 Der Amerikanische Freund/1977/フランス・西ドイツ 監督ヴィム・ヴェンダース

以前は少なからず反発を感じていた映画だった。一つはトム・リプリーがアラン・ドロン演じる美青年から中年のデニス・ホッパーに変わったこと。しかもカーボーイハットを被ったあの妙なスタイル。そして、ヴェンダースだ、ニコラス・レイだ、サミュエル・フ…