HODGE'S PARROT

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Espionage

25歳のイスラエル人青年は上空の視界から何を見るのか 〜 ジェイムズ・フォレット『ミラージュを盗め』

イスラエルの情報機関モサドが実行したとされる作戦の数々は、スパイ小説以上にスパイ小説的な「快挙」をまざまざと見せつけてくれる。本書ジェイムズ・フォレットの『ミラージュを盗め』は、そのモサドが現実に実際に実行した(と見なされている)二つの、…

民族? ソレガ一体ドウシタト言ウンダ? 国家? 知ッタコトジャネエヨ

広野伊佐美『幼児売買 マフィアに侵略された日本』は、幼児、主にアジア周辺国、中南米の子供たちを、その性を搾取するための「現代の奴隷」としてだけではなく、臓器摘出用の「生贄」として売買している人物たち──著者である広野氏は”悪魔”と呼んでいる──の…

西ドイツで学生を射殺した警官はシュタージだった

1967年、西ベルリンで26歳の学生ベンノ・オーネゾルク(Benno Ohnesorg、1940 - 1967)が警察官に射殺された。そのときオーネゾルクは、イランのパーレビ国王の西ドイツ訪問に対する抗議デモに参加していたのだった。彼の死は、その後の西ドイツ極左組織によ…

スペインで戦った日本人

BBCのテレビドラマ『ケンブリッジ・スパイズ』(Cambridge Spies)のDVDが届いたので、早速観ているところ。ガイ・バージェス、キム・フィルビー、アントニー・ブラント、ドナルド・マクリーンら「英国を裏切った」スパイたちの活躍を、BBCが英国の人気俳優…

ヒトラー暗殺を企てた牧師、ディートリッヒ・ボンヘッファー

村上伸 著『ボンヘッファー』を読んだ。ドイツのルーテル派教会の牧師・神学者ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer、1906 - 1945)の生涯とその思想について書かれたものだ。「ボンヘッファーとは何者か」──このプロテスタント牧師の持つ三…

『陰謀の世界史』を読んで

先日、書店でジョン・コールマン/John Coleman の『新版 300人委員会』が平済みされているのを見て、「陰謀史観」(Conspiracy theory、コンスピラシー・セオリー)が流行っているのか──また流行りだしたのか……と思い、海野弘の『陰謀の世界史』を読んで整…

コカ・コーラ 007

ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドが待ち遠しい最新作『Quantum of Solace』(邦題は『慰めの報酬』だっけ)であるが、そんな渇きを癒してくれるような飲み物が、イギリスで発売されるようだ。その名は”Coca-Cola Zero Zero 7”。コカ・コーラ グレート…

MI5、ゲイの情報員を「公式に」募集

そういえば、『アシェンデン 英国秘密情報部員の手記』(Ashenden: Or the British Agent、1928)を書いたサマセット・モームは、実際にイギリス情報局秘密情報部/Secret Intelligence Service (SIS、MI6)の諜報部員としての体験を有していたのだった。 …

ジョン・ル・カレ『リトル・ドラマー・ガール』

イスラエル人に会ったことはあるかね」クルツ*1がきいた。 「自分が知るかぎり、ないはず」 「ユダヤ人全体に、なにか人種的反感を持っていないかな。ユダヤ人がユダヤ人であることにたいしてだ。われわれはいやなにおいがしないかね、テーブル・マナーがい…

『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』映画化へ

『ガーディアン』によれば、ジョン・ル・カレのスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』が映画化へ向けて準備中だという。Tinker, tailor, soldier, film star [Guardian] John le Carré's hit thriller Tinker, Tailor, Soldier, Spy is to…

アメリカを売った男 Ex opere operato

『Stop Loss』の日本公開を待ち遠しく思っていたところ、グットタイミングでライアン・フィリップが出ている『アメリカを売った男』(Breach、ビリー・レイ/Billy Ray 監督)が劇場公開されていた。早速、観に行ってきた。日比谷シャンテ シネにて。 [アメ…

「外注」される戦争と「認識管理」

民間軍事会社(Private Military Company、PMC)について取材した、菅原出の『外注される戦争 民間軍事会社の正体』を読んだ。著者は東京財団のリサーチ・フェローで、他に『アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか』『日本人が知らない「ホワイトハウスの…

長い髪してマルクスボーイ、今日も抱える赤い恋

かつて「モボ」「モガ」と呼ばれる若者たちが存在した。ウィキペディアを参照すると、「モボ」「モガ」は、それぞれ「モダン・ボーイ」「モダン・ガール」を略していった言葉で、大正末期から昭和の始め頃、西洋文化の影響を受けて新しい風俗や流行現象に現…

MI5、中国のサイバースパイを警告

イギリスの対国内防諜担当、MI5 (Military Intelligence, Section 5、情報局保安部)のジョナサン・エバンズ長官(Jonathan Evans)は、中国によるコンピュータシステムへの攻撃を警告する文書を英国企業約300社に送った。 中国の「サイバースパイ」警戒を=…

インパーフェクト・スパイ? アレックス・アラン氏

一スパイ小説ファンの判断だが、以下のニュースも、多分、何かしらの「偽装」なんだと思うのだが……。 英スパイ幹部がHPで住所公開、大騒ぎに [Yahoo!ニュース/産経新聞] ジェームズ・ボンドの母国の英国で、情報局保安部(MI5)、同局秘密情報部(旧称…

ザ・グリッド

『S.A.S. 英国特殊部隊』も『24 TWENTY FOUR』も見終わっていないのだけれども、バーゲン価格で『ザ・グリッド/THE GRID』が売っていたので購入。早速、第1話を観た。ザ・グリッド DVDコレクターズ・ボックス出版社/メーカー: 20世紀 フォックス ホーム エ…

『拷問と医者』 真の愛国者エウイン・キャメロン

ナオミ・クラインが「ショック・ドクトリン」に関するインタビューで語っていた、精神科医エウイン・キャメロン/Ewen Cameron に関する日本語の本を見つけた。ゴードン・トーマス著『拷問と医者―人間の心をもてあそぶ人々』*1だ。 Gordon Thomas はイギリス…

ナオミ・クライン、「ショック・ドクトリン」について語る

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン/Naomi Klein がデモクラシーナウ!に出演、最新著書『The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism』(『ショック・ドクトリン:惨事活用型資本主義の勃興』)について語っている。 The Shock Doctrine:…

陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争

陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争作者: クリスマッケイ,グレッグミラー,Chris Mackey,Greg Miller,中谷和男出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2005/12/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る この米陸軍尋問官クリス・マッケイ…

スウェーデンで暗躍していたシュタージ

スウェーデンの情報機関 Sapo は、冷戦期、スウェーデン国内で活動していた東ドイツの秘密警察シュタージ(東独国家保安省)によるスパイ網を90年代に把握していたことをあきらかにした。これはスウェーデンを舞台にした諜報活動についての本が6月に出版され…

関根伸一郎『ドイツの秘密情報機関』

シュタージ関連の本として、以前も触れた、関根伸一郎 著『ドイツの秘密情報機関』を読み返してみた。ナチスドイツの秘密情報機関の活動から、戦後の東西ドイツによる熾烈な諜報戦の現実を把握できる。 この本によると、対外諜報部門の長マルクス・ヴォルフ…

郷間、内間、交間、生間、死間 『スパイの世界史』

スパイの世界史 (文春文庫)作者: 海野弘出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/07メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (12件) を見る プロローグでジル・ドゥルーズの『襞──ライプニッツとバロック』に言及する。外交官の文書を「…

イスラエルのスパイ? ナセル大統領の義理の息子、変死

6月27日、エジプトのナセル大統領の義理の息子アシュラフ・マルワン氏(Ashraf Marwan、63歳)がロンドンの自宅で転落死した。ナセル大統領の義理息子、英で怪死 [Yahoo!ニュース/産経新聞] マルワン氏は、イスラエルとエジプトの二重スパイだったといわれ…

S.A.S. 英国特殊部隊『The Killing House』

英国陸軍特殊部隊SAS(Special Air Service)は冒険小説では人気の組織であるが、個人的には諜報機関であるMI6(SIS)やMI5ほど馴染みがなく、湾岸戦争の記録としてアンディ・マグナブ/Andy McNab の『ブラヴォー・ツー・ゼロ』(Bravo Two Zero、B20)を読…

米CIA、非合法活動報告書「Family Jewels」公開へ

米中央情報局(CIA)の非合法活動に関する報告書が機密解除される。693ページに及ぶ機密書類は「family jewels」という名で知られているものだ。CIA Airs Dirty Laundry CIAの非合法活動の報告書公開へ [NIKKEI NET] 22日付の米紙ワシントン・ポストは、…

「グローバル・セキュリティ」と「戦術データリンク」

松村昌廣『軍事情報戦略と日米同盟 C4ISRによる米国支配』(芦書房)の序論で、アメリカの軍事情報通信システムに関する「基本的な」情報入手方法が記されている。参照したい。軍事情報戦略と日米同盟―C4ISRによる米国支配作者: 松村昌広出版社/メーカー: 芦…

「ペルソナ・ノン・グラータ」ワルトハイム元国連総長死去

それほど面白くもない国際法の講義で印象に残っているのは、「ペルソナ・ノン・グラータ」(Persona non grata、好ましからざる人物)という概念や事例に当たっていたときだ。中でも、第4代国連事務総長を務め(1972〜81年)、オーストリア大統領という国家元…

ジョン・クリード『シリウス・ファイル』

まだ途中なのだが、ジョン・クリード/John Creed の『シリウス・ファイル』の掴みは良好だ。シリウス・ファイル (新潮文庫)作者: ジョンクリード,John Creed,鎌田三平出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/07メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブ…

元KGB暗号エキスパートのセキュリティセミナ−

明日5月16日より、東京ビッグサイトで、『第4回 情報セキュリティEXPO』が開催される。 http://www.ist-expo.jp/ それでちょっと注目したいのが、ジャストシステム&リード エグジビション ジャパンのブースで開かれるセキュリティセミナー。というのも、元K…

仏DGSE、「9・11」を事前察知

『ル・モンド』紙は、仏情報機関である対外治安総局(DGSE)がアルカイダによる2001年9月11日の世界貿易センタービル攻撃を事前に察知、米CIAに伝えていた、と報じた。 <仏情報機関>「9・11」を事前察知し米に通報…仏紙 [Yahoo!ニュース/毎日新聞] ル…