Vom Kriege
西谷修『戦争論』の第一章「世界戦争」を再読した。個人的に多くの示唆を得た──しかし、それは、この論考で、あるいはこの一冊の著書全体で著者が読者に向けて意図して描いたであろうことを受け止めたかどうかとは、無関係である。気になった部分をメモして…
ジョセフ・ヴィラ(Joseph Villa、1948 - 1995)というアメリカのピアニストについて偶然知った。これまで彼の演奏を聴いたことがなかった、ディスクも一枚も持っていなかった、その名前すらも耳にしたことがかった。これまで、僕にとって、ジョセフ・ヴィラ…
メンデルスゾーンの音楽を聴いていたら──《宗教改革/Reformation》と呼ばれる交響曲第5番ニ長調 Op.107 をクラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団の演奏で聴いていたら──ふと、ハーバート・クッファーバーグ著『三代のユダヤ人 メンデルスゾーン家の人々…
或る現象を癌と名附けるのは、暴力の行使を誘うにも等しい。政治の議論に癌を持ちだすのは宿命論を助長し、「強硬」手段の採択を促すようなものである──それに、この病気は必ず死に到るとの俗説をさらに根強くしたりもする。病気の概念がまったく無害という…
ヤン T.グロス著『アウシュヴィッツ後の反ユダヤ主義 ポーランドにおける虐殺事件を糾明する』(原題『Fear: Anti-Semitism in Poland After Auschwitz』)*1を読み始めた。アウシュヴィッツ後の反ユダヤ主義―ポーランドにおける虐殺事件を糾明する作者:ヤン…
こちらで非常に有意義な議論がされていたので、参考にさせていただいて以下の文章を考えてみた。しかしこれがクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに則って「改変」として許されないとするならば、コメントに書いて欲しい。ただちに削除する。 オレは個人的…
最初はジジェクやバトラーあたりに言及して、ポルノの「幻想」と実際の「行為」についてぐだぐだと書こうと思ったのだが、それはひとまず放棄する。あまりにも怒りが込み上げてきたからだ。したがって以下は単純な怒りの表明であり、関連する英国で最近起き…
たぶん、僕がJ.S.バッハの作品で一番好きな──『シャコンヌ』が最高だ、と言う/言ったかもしれないが──『マタイ受難曲』(St. Matthew Passion BWV244)の中の39(47)番のアリア「憐れみたまえ、わが神よ」。 トン・コープマン指揮アムステルダム・バロック…
『ザ・ホワイトハウス』のセカンドシーズンを買ってきた。まだファーストシーズンを見終わっていないのだが……。コレクターズ・ボックス [DVD]" title="ザ・ホワイトハウスコレクターズ・ボックス [DVD]">ザ・ホワイトハウスコレクターズ・ボックス [DVD]出版…
『現代思想』のジュディス・バトラー特集の「討議」で、レオ・ベルサーニによるバトラーへの批判が取り上げられていた。 竹村 たしかベルサーニだったと思いますが、バトラーについて、セクシュアリティに潜むおぞましくも恍惚的なものを語らない「いい子ち…
YouTube に海外ドラマ(24、ザ・ホワイトハウス、プリズン・ブレイクetc)、それに古楽といった新しく広大なエンターテイメントに足を踏み入れた結果、読書量が落ちるのは必然だろう。これにナップスターが加わったら……。 というわけで、ナップスターに正式…
なんだかとても感動した。パット・ベネター(Pat Benatar)の『Invincible』の曲に乗って『新機動戦記ガンダムW』(Mobile Suit Gundam Wing)の「闘い」の場面が描かれる。編集したのはアメリカに住む19歳の女性だ。 『Pat Benatar - Invincible』(http://…
ローマ教皇ベネディクト16世のイスラム聖戦批判発言に関する記事。 イスラム世界、一斉に反発 ローマ法王発言 [goo ニュース/共同通信] ローマ法王ベネディクト16世がイスラム教の「ジハード(聖戦)」を批判したとしてパキスタン下院が15日、全会一致…
id:yskszk氏の定義からすると「認められない」だろうが、「市井の人」である僕は、週末の休日ぐらいしかきちんとしたエントリーを書く余裕がない。しかも文筆家と違って、思っていることを言語化するのに非道く難儀する。だから他の人の「語られかた」がとて…
シェーンベルク:月に憑かれたピエロ、心のしげみ、ナポレオン・ボナパルトへの頌歌アーティスト:シェーファー(クリスティーネ),ピットマン=ジェニングス(デイビッド)発売日: 1998/10/01メディア: CD シェーンベルク作曲『ナポレオン・ボナパルトへの頌歌』(…
タイトルは、id:yskszk氏のエントリー「川原泉と同性愛」から拝借した。なぜならば、yskszk氏の指摘する「同じ構造」が以下のニュースでも見られるからだ。皮膚病患者を「ミイラ」と中傷 SNSに書き込む [産経新聞] 岩手県内にある大学の元水泳部員の男子…
スロヴェニア共和国(Republika Slovenija、Republic of Slovenia)は、同性カップルを法的に承認・保護するシビル・ユニオン法を通過させた。これにより同国は、旧共産主義国家として、チェコ共和国に続き、ゲイ&レズビアンの権利を認めた2番目の国家とな…
以前「少女マンガと優性思想」や「ブリテン 『戦争レクイエム』」で示した、川原泉の差別の問題点。この問題に関して、”それは「古い」作品だから”という弁解が通用しない状況が浮上した。最新作である『レナード現象には理由がある』においても、差別・人権…
青山ブックセンター本店に、現在、「80年代とは何だったのか」を考えるための書籍がセレクトしてあるコーナーがある。そのセレクトぶりに感心し、何冊か手に取って、ニヤリとさせられた。やっぱり本屋には足を運ぶべきだな。ただこのコーナーに、笠井潔『ユ…
笠井潔の『サマー・アポカリプス』。この推理小説は、シモーヌ・ヴェイユの思想が刻印された力作である。矢吹駆シリーズの中で僕が最も愛しているものだ。その後半、カケルはシモーヌ・ヴェイユの化身とも言うべきシモーヌ・リュミエールに問う。「無神論者…
高橋正雄 編『ヘンリー・ジェイムズ研究』(北星堂書店)より、藍原乾一「ヘンリー・ジェイムズの文学批評」。ジェイムズを中心・中点に置き、ジェイムズ以前の「過去の批評家」としてサンド・ブウブを、「未来の批評家」としてT・S・エリオットを引き合い…
ナチズムは、おそらく、血の幻想と規律的権力の激発との最も素朴にして最も狡猾な──そしてこの二つの様相は相関的だったが──結合であった。社会の優生学的再編成は、無際限な国家管理の名にかくれてそれがもたらす<極小権力>の拡張・強化と相まって、至高…
フランス社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル氏が、「同性結婚及び同性愛者の養子縁組を支持する」とゲイ雑誌のインタビューで言明したが、右派の政治家ドビルバン氏らはこれに反対している。 アメリカだと、ブッシュ大統領(「われわれの大統領」by ジュディス…
↑のエントリーで、ドゥルーズ=ガタリを引いたまさに舌の根も乾かぬうちに(笑)temjinusさんが、ここのところ、「詐欺師」フロイトの問題やアラン・ソーカル&ジャン・ブリックモンの投げかけた問題について検討している。いろいろと参考になる。 ポストモ…
『ミステリマガジン』(1992年5月号)に大沢在昌と北上次郎の対談が載っている。「フィルム・ノワールの魅力を探る ジャック・ベッケルの世界」と題された「フランスの犯罪映画」フィルム・ノワールに関するものだ。対談の最後に、シネ・ヴィヴァン六本木で…
ハリー・サイドボトム(Harry Sidebottom)による『ギリシャ・ローマの戦争』(岩波書店)を読む。ギリシャ・ローマの戦争 (〈1冊でわかる〉シリーズ)作者: ハリーサイドボトム,Harry Sidebottom,吉村忠典,澤田典子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2006/03…
以前ちょっとだけ触れたが……。 コンドリーザ・ライス米国務長官が3月末にイギリスを訪問したときのこと。イギリス各地では、ライス長官訪英に対して、多くの人々が抗議行動を起こした。Rice brushes off anti-war protests threat [Independent] Anti-war c…
中道左派連合が僅差で勝利したイタリアであるが、総選挙後初の国会が4月28日招集される。そして上下両院議長の選出、7年間の任期切れを迎えるチャンピ大統領の後任選びを経て、プローディ新政権の発足は5月中旬以降になるようだ。新政権発足、5月中旬…
1月22日、ラムズフェルド国防長官がフランス、ドイツの二カ国を「古いヨーロッパ」だと決め付ける演説を行った。フランスとドイツは道徳的頽廃を代表する勢力であり、特にフランスは第二次世界大戦においても、それ以前においても、外交・戦略上で大失敗を繰…
先月の訪英中、コンドリーザ・ライス米国務長官(Secretary of State Condoleezza Rice)が「我々は戦術的な誤り、それも非常に多くの誤りを犯した」("I know we've made tactical errors - thousands of them, I'm sure," )とイラク戦争について発言した…