面白い動画があった。
Stockhausen called 9/11 'the greatest work of art ever'
一目(聴)瞭然であろう。まずは J.S.バッハから始まりモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス……ラフマニノフ、シベリウス、プーランクで終わる「偉大な作曲家たち」──真の古典であるグループ。
では、彼らの続くのは誰か。
- グループA……ルイジ・ノーノ、ジョン・ケージ、アルフレット・シュニトケ、ヤニス・クセナキス、ルチアーノ・ベリオ、ジェルジ・リゲティ、カールハインツ・シュトックハウゼン
- グループB……イゴール・ストラヴィンスキー、ドミトリ・ショスタコーヴィチ、ベンジャミン・ブリテン、サミュエル・バーバー、カール・オルフ、アーロン・コープランド、ホアキン・ロドリーゴ
ま、Aはアヴァンギャルド系で、Bが新古典派、新ロマン派という分類なのだろう。ただ、シュトックハウゼンの例の9・11に関する発言を引いている以上、この映像は「プロパガンダ」になっているはずだ。
Aは見事なまでに「神経を逆撫でするような」現代音楽作品をあえてチョイスしているわけだし、Bは見事なまでに「親しみやすい作風」の作品を挙げている──そういえば、グループAには、オリヴィエ・メシアンやピエール・ブーレーズのようなアヴァンギャルドだけれども例外的にその響きが蠱惑的で美しい音楽を書いた作曲家はチョイスされていない。
ただね……これ、見事なまでに「青少年のための現代音楽入門」になっている。「シュトックハウゼン発言」さえ無視すれば、ABともに作曲家の容貌とその代表作が流れる、教育的価値の非常に高い映像になっているのだ──グッジョブだ。選曲が「いい」のだ。これを観て、現代音楽に──とりわけAグループに──関心を抱く「青少年」(に限らないが)も、期せずして、いるのではないだろうか。実際、僕もこれを観て、(ショスタコの亜流だと思ってた)シュニトケって結構いい曲書くんだな、と見直したもの……
……そんなことを思いながら「Video Responses」に目を遣ると、どこかで見た「ゲイ・カップル」がいるな……あ、これ、マトモス/Matmos じゃないか
Celino Romero La Paloma & Snapshots Preview
この映像は Snapshots Music & Arts Foundation が提供しているもので、そのウェブサイトによると、フィルムやテクノロジーを通じて芸術&音楽を広めてくことをミッションにしているようだ。クラシック、ジャズ、ワールド・ミュージック、クロスオーヴァー、そして(マトモスの)エレクトリック・サウンド。
[Snapshots Music & Arts Foundation]
まあ、芸術のための非営利財団といっても、マトモスが参加しているのだからずいぶんと「懐が広い」──もちろん音楽的に、ね──のだろう(笑)。
Matmos Getty Rehearsal
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ザ・ローズ・ハズ・ティース・イン・ザ・マウス・オブ・ア・ビースト
- アーティスト:マトモス
- 発売日: 2006/04/21
- メディア: CD