HODGE'S PARROT

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カーター・パンの『ダンス・パルティータ』他



Piano Concerto / Dance Patita

Piano Concerto / Dance Patita


1972年生まれのアメリカの作曲家カーター・パン(Carter Pann)の作品集を聴く。NAXOS の「AMERICAN CLASSICS」シリーズの一枚で、収録曲は、

  • ピアノ協奏曲/Piano Concerto (1996/7)
  • 2つの滞在地/Deux séjours (1994)
  • ダンス・パルティータ/Dance Partita (1995)
  • バルセロナの二つの肖像/Two Portraits of Barcelona (1994)


なにしろパンは1972年生まれなので/だから、前衛とか現代音楽とかいう議論は必要ないようだ。ピアノ協奏曲からして、モーリス・ラヴェルの「両手」どころか、サン=サーンスの音楽を思わせる。
優雅でひたすら……軽薄(笑)。いや、褒めているんだけどね。これほどまでに気持ち良い音楽は誰にも書けるもんじゃないし、陳腐な常套句を用いれば、それこそ「耳のご馳走」だ。全楽章にそれぞれ「ピーニュ・コラーダ」「夜想曲」「ユア・タッチ」「ブルース」「コンサート」というタイトルが付けられているが深い意味はない──そのままだからだ。
こういう軽妙洒脱な音楽がアメリカで生まれるというのが感慨深い。
『2つの滞在地』も素直な音楽だ。「フォンヴェイエユ、プロヴァンス」と「ポルトフィーノ、イタリア」というパンがヨーロッパに滞在したときの印象を綴っている。作曲者自身が解説で書いているのをざっと意訳してみると……「俺がこれまで訪れた中で最高の村だったよ。で、エリック・サティの『ジムノペディ』のようにしたかったんだ。ドビュッシーがオケに編曲したのがあるだろう、あんな感じ」。まさに、そんな感じの曲。タイトルもフランス語だよ。
『ダンス・パルティータ』にしても、第1曲目が「バロック」というタイトルの通り、まるでヴィヴァルディ……チェンバロが大活躍する。でも、この音楽の面白いこと、楽しいこと。「フルレスク」「エア」「フォークダンス」「いろいろなステップ」と楽しい音楽は続く。
最後の『バルセロナの2つの肖像』は「アントニオ・ガウディの大聖堂」と「闘牛」のポートレイト=絵葉書。これもスペイン旅行の賜物で、アメリカ人がヨーロッパの観光地を訪れ大感激しているのがよくわかる。響きがとてもゴージャスなのだ。神秘的な雰囲気から鐘が鳴り響く「大聖堂」の壮麗さ。「闘牛」では熱気に溢れ、お約束の通り?ビゼーの『カルメン』を引用し、最後は「オレ!」で決まり!
この人、日本に滞在したら面白い曲を書くだろうな。

カーター・パンは商業音楽(コマーシャル、TV/Radia commercials)でも活躍しているという。

Eclipse

Eclipse

  • アーティスト:Antares
  • 発売日: 2005/03/01
  • メディア: CD