HODGE'S PARROT

はてなダイアリーから移行しました。まだ未整理中。

book

表徴の帝国でのハッキング、スラッシング、スナイピング

マーク・デリー(Mark Dery)*1が批判する「ある種の」政治──またはありえない未来デザインの裏面で 政治的な戦略としては、こうした抵抗の儀式――あなたの用語に従えば「破壊/転覆の神話」は、国民国家の粗野な権力と、こういったものを急速に時代遅れなも…

他の欲望の構造には還元できないその固有性

ゲイのセクシュアリティ、さらにいえば、セクシュアリティのもつポテンシャリティは、それが社会的なものを破壊するというところにこそある。「直腸は墓場か?」でベルサーニは、マッキノンやドウォーキンのセクシュアリティ理解を絶賛し、セックスを非暴力…

レオ・ベルサーニの直腸とキャサリン・マッキノンのポルノグラフィ

レオ・ベルサーニが『直腸は墓場か?』で重要視するキャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンらによるセクシュアリティに対する視点 最近の研究が強調してきたところでは、ジョン・ボズウェルがいうように「美の基準がしばしば男性の原型にもとづく…

グスタフ・マイリンクについて

オーストリアの作家グスタフ・マイリンク(Gustav Meyrink, 1868 -1932)の世界観と両性具有のイメージ マイリンクは、ユダヤ教、キリスト教、東洋の神秘思想を学んだと言われ、1927年にプロテスタントから大乗仏教徒に正式に改宗している。そしてまたその作…

ただのXが救えなかった世界が、ただのYに救えるはずもない  上野千鶴子の『女は世界を救えるか?』より

「女性が世界を救う」という標語を支持する女たちの気負いと、男たちの無責任なおだてと高見の見物ぶりとは、こっけいなだけでなく危険でもある。女性性のそうした称揚は、女性性の蔑視の反転したネガにすぎず、少しも新しくはない。(中略) 男の側からは、…

”それはキリスト教の改心のようでした、私たちは突然、友情を見出したのです”

メアリー・ミッジリー(Mary Midgley)とジュディス・ヒューズ(Judith Hughes)による、倫理学/道徳哲学の観点を取り入れ「フェミニズムを考える」著書『女性の選択』(Women's Choices: Philosophical Problems Facing Feminism, 1983)より*1。二人は、…

ささやかな宣言 〜 リュス・イリガライ

リュス・イリガライ(Luce Irigaray、b.1930)の『差異の文化のために』*1を読んだ。その第1章「ささやかな宣言──平等を要求する女たちか、それとも差異を主張する女たちか」についてメモしておきたい。「女なら『第二の性』を読んだことのない人がいるだろ…

秘密

G・K・チェスタトンの『ブラウン神父の秘密』(The Secret Of Father Brown)を久しぶりに読み返した(他の短編も読み返そうと思う、何しろブラウン神父ものってミステリに興味を覚えたほとんど最初期に読んだものだし、したがってほとんど内容を忘れている…

形態とは…ウィトルウィウスから上野千鶴子まで

五十嵐太郎の『現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉』では、その冒頭、建築に関するキーワードとしての〈形態〉と〈機能〉の関係について、これまで語られてきた「まとめ」からスタートする。シカゴ派の代表的建築家であるルイス・サリヴァン(…

空気をコントロールすること

2005年、デンマークの新聞『ユランズ・ポステン』がイスラム教の預言者ムハンマドを風刺した漫画を掲載した。これに対し、イスラム諸国から激しい抗議が巻き起こった。大規模なデモ、暴力的な騒動、重大な外交問題に発展した。 この風刺画はムハンマドの12の…

ジャン・ヌーヴェルのアラブ世界研究所

私は、もちろん自分が手品師だとは思っていないが、私が創造しようとする空間は解読できない空間であり、ひとが目で見ているものの精神的延長となるような空間でもある。 ジャン・ヌーヴェル──『les objets singuliers 建築と哲学』より*1 パリで最も魅力的…

「少しずつ、われわれは原住民の心を支配し、彼らの情をかち得る」

オリエンタリズムの問題──五十嵐太郎の『建築はいかに社会と回路をつなぐのか』の中でも、つまり建築について知る・語るうえでも重要な一つの指標として論じられている。 例えば、ウィリアム・チェンバースのキューガーデンの中国風パゴタやジョン・ナッシュ…

セクシュアリティと空間

五十嵐太郎の『建築はいかに社会と回路をつなぐのか』でセクシュアリティ関連の著作への言及がなされていた。その多くが邦訳のないものであり、個人的にも「建築」という非常に興味のあるテーマなのでそこからメモしておきたい。建築はいかに社会と回路をつ…

民族? ソレガ一体ドウシタト言ウンダ? 国家? 知ッタコトジャネエヨ

広野伊佐美『幼児売買 マフィアに侵略された日本』は、幼児、主にアジア周辺国、中南米の子供たちを、その性を搾取するための「現代の奴隷」としてだけではなく、臓器摘出用の「生贄」として売買している人物たち──著者である広野氏は”悪魔”と呼んでいる──の…

エコロジカル・フェミニズムについて

大越愛子『フェミニズム入門』より「エコロジカル・フェミニズム」について記しておきたい。エコロジカル・フェミニズム(エコフェミニズム、Ecofeminism)とは、人間と自然的なものに階層を置く近代的自然観を最も先鋭に問題化にしているフェミニズム思想・…

サント=クロチルド教会とゴシック・リヴァイヴァル

以前、パリに行ったときに、かねてからの念願だったモンパルナス墓地にある、敬愛する作曲家セザール・フランク(César Franck、1822 - 1890)の墓を訪れた。6月、今度は、そのフランクが死の年まで教会オルガニストを務めていたサント・クロチルド教会(Bas…

要するに、生命にはひとつの基本的な傾向しかない。すなわち無生物の「安定状態」に戻るという傾向、つまり死に向かう傾向だ。

西谷修『戦争論』の第一章「世界戦争」を再読した。個人的に多くの示唆を得た──しかし、それは、この論考で、あるいはこの一冊の著書全体で著者が読者に向けて意図して描いたであろうことを受け止めたかどうかとは、無関係である。気になった部分をメモして…

「死せる犬」を否定する あるべき姿の神学を求めて

1959年に新教出版社より初版が刊行された、北森嘉蔵『神学入門』の復刻版を読んでいる。著者である北森嘉蔵はルーテル教会で受洗し、日本基督教団に所属──つまりプロテスタントの牧師である。彼は「神の痛みの神学」を提唱し、1946年に同名著書を発表してい…

2010年に買った本を振り返る

なかなか本が読めなくて(とくに小説が)…読んでも以前のようにブログに感想を書いてなくて…。というわけで、2010年の新刊書の中から個人的に印象に残った書籍をざっと記しておきたい。 『透明な沈黙』(鬼界彰夫 訳&冨田伊織、青志社) 透明な沈黙作者: 冨…

なぜプロレタリアはインターナショナルになるか

「地政学を英国で学ぶ」でバラク・オバマ大統領の演説について「そのすごさ」が明快に指摘されていた。 どうすごいかというと、欧米で国際関係論を多少学んだ人ならおわかりのように、彼はリアリズムの議論(とくにニーバーの得意とする道徳論)を使って、人…

ブザンソン劇場の内側を映す眼

Twitter でお世話になっている Hadaly さんのアイコンが最近変わった。それは強烈な印象を与える「眼」の画像であった。しかも、それをどこかで見たような気が……既視感を覚えた……とても気になり、なんだか落ち着かなくなった。何の画像なのか訊ねようと思っ…

「シューマンを聴きながら」3

青柳いづみこ著『音楽と文学の対位法』を読んだ。第2章がロベルト・シューマン論であった──”シューマンとホフマンの「クライスレリアーナ」”。それはこんな風に始まる。 1854年2月27日、ローベルト・シューマンがライン河に身を投げる直前に書いた曲は、《主…

ゼノンのパラドックスを正面からと同時に斜めから見てパルメニデスを擁護する

『斜めから見る』の冒頭、スラヴォイ・ジジェクは様々な理論的モチーフを「斜めから見る」ことによって──つまり理論の〈実例〉をあげ「とっつきやすく」して説明することの意義を論じている。それというのも、ある「高尚な」理論の実例をあげ、それを「舞台…

人は学者によって、強姦者によって、サディストによって……劣等感を教えこまれる

アンドレア・ドウォーキン(Andrea Dworkin、1946 – 2005)の主著『インターコース 性的行為の政治学』よりメモしておきたい。他者のアイデンティティの破壊(追放)と、それに乗じた──むしろそれゆえに──「性的特色」の〈ねじ込み〉の暴力性を論じた部分で…

「ソクラテスは美少年を好む」の解釈方法

TL のなりゆき上、プラトン&古代ギリシア関連の本からメモしておきたい。松浦明宏 著『プラトン形而上学の探求―『ソフィステス』のディアレクティケーと秘教』の第一章「プラトン解釈の方法」より。プラトン形而上学の探求―『ソフィステス』のディアレクテ…

終身在職権をもったラディカルたち

タイトルはカミール・パーリアが『セックス、アート、アメリカンカルチャー』(野中邦子 訳、河出書房新社)の中で言及していた、ロジャー・キンボール/Roger Kimball の著書より。大学に巣食う、高給取りで安定した地位を得ている左翼学者を批判したものだ…

コンシャンス

増田祐志 編『カトリック神学への招き』の実践神学-倫理神学より、〈良心〉についてメモしておきたい。まずは〈良心〉なるものについて。 良心は、人格的存在としての人間の深奥に生得的に刻み込まれている。それは存在論的に人間存在を根拠づけ、倫理的に人…

「汝なにを欲するか?」

スラヴォイ・ジジェクについての本、トニー・マイヤーズ著『スラヴォイ・ジジェク』の第六章「なぜ人種差別は常に幻想なのか」を中心に、ジジェクの人種差別をめぐる分析についてメモしておきたい。人種差別は「汝なにを欲するのか?」(Che vuoi?)という問…

邪悪

『人権について オックスフォード・アムネスティ・レクチャーズ』に収録されているアグネス・ヘラーの講義録「自然法の限界と邪悪のパラドックス」より、〈邪悪〉についてメモしておきたい。アグネス・ヘラー(Agnes Heller、b.1929 - )はハンガリー生まれ…

「そそのかし、刺激し、生産する」

ミシェル・フーコーを特集している『現代思想』の最新号を買って、スターバックスでコーヒーフラペチーノを飲みながら、少し読んだ。現代思想2009年6月号 特集=ミシェル・フーコー作者: デイヴィッド・ハーヴェイ,酒井隆史,重田園江,市田良彦,小泉義之出版社…