ここのところ、コロムビア/DENON の「ロシア・ピアニズム名盤選」を集めて、聴いている。このシリーズ、ウラジーミル・ソフロニツキー以外は初めて聴くピアニストばかりなのだが、どれも素晴らしい演奏で、その「濃厚な」ピアニズムの完全な虜になった。一枚一枚が本当に新しい発見と感動に満ちている。
しかも録音が、良い。1950年代のモノラル録音が多いのにもかかわらず、臨場感のあるサウンドの再生を可能にしている。さすが国内メーカーの面目躍如だ、と言いたくなるくらい、録音年代の古さはぜんぜん鑑賞の妨げにならない。日本語による解説が充実していることも国内盤ならではだ。
- アーティスト: ベデルニコフ(アナトリー),シューマン
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: CD
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これはアナトリー・ヴェデルニコフ(Anatoly Vedernikov、1920-1993)のシューマン・アルバム。曲目は、
トッカータの華麗なる技巧に、幻想曲のロマンティシズム、ピアノソナタの激情……といったシューマンの魅力があますところなく収まっている。しかも「プレスト ト短調」というピアノソナタ第2番のオリジナル・フィナーレ付きというのが嬉しい。
そして何よりも、このピアニストが構築する、強烈なフォルテッシモと芯のあるピアニッシモからなる音のドラマ。壮大で迫力がある──とくに幻想曲の2楽章には圧倒される。凄い、の一言だ。