フィンランドのピアニスト、リスト・ラウリアラ(Risto Lauriala)によるJ.S.バッハ作品のピアノ用編曲集──といっても定番のフランツ・リストやフェルッチョ・ブゾーニのものはなし。シロティによる≪シャコンヌ≫など、希少価値で勝負。ナクソスによる好企画盤だ。
- アーティスト: J.S. Bach
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2000/08/15
- メディア: CD
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収録作品は、
- カミーユ・サン=サーンス : カンタータ「神よ、われら汝に感謝す」BWV.29 より序曲
- アレクサンドル・シロティ : ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調 BWV.1018 よりアダージョ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータより≪シャコンヌ≫BWV.1004
- マックス・レーガー : トッカータとフーガ BWV.565
- オイゲン・ダルベール : パッサカリア ハ短調 BWV.582
- ドミトリー・カバレフスキー : トッカータとフーガ ニ短調「ドリア旋法」 BWV.538
とくにシロティ(Alexander Siloti、1865-1945)の≪シャコンヌ≫は、ブゾーニ版をさらに編曲し直したものだという。よりピアニスティックに華麗に……ではなく、より原曲に近いように音を少なく地味に……。なので、これでは、技巧派ピアニストにも原典主義者にも取り上げられないだろうな、というシロモノ。本当に希少と言えるだろう。
でも、解説にも書いてあるように、ブゾーニ版のヴィルトゥオジティの前では聴収しずらい「和声構造」(chordal structure)を聴かせてくれるそうだ……でも、やはりブゾーニ版のほうが「カッコよい」かな。
有名な≪トッカータとフーガ≫は、やはりブゾーニと比べると、レーガーは地味に聴こえる。ブゾーニがいきなり高音でピアノを煌かせるのに対し、レーガーは中低音域をどっしりと響かせる。でも、このレーガーの、もごもごとした重さが、渋くていいんだなあ。
ダルベールとカバレフスキーはそれぞれ聴き応えがある。原曲の壮大さに加え、ピアニスティックな効果も十分に楽しめるものだ。ピアノだとロマンティックな雰囲気も味わえるしね。
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