- アーティスト: Bach,Chopin,Schubert
- 出版社/メーカー: Msr Classics
- 発売日: 2005/10/25
- メディア: CD
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ジャケットに1963年11月22日(NOVEMBER 22 1963)と記されているのが見えるだろうか。これは、このCDに収録されている楽曲がライブ録音された日付だ。8:30 PM。場所はヴァージニア州ウイリアムスバーグにある College of Willian & Mary、演奏者はアメリカのピアニスト、ジョン・ブラウニング(John Browning、1933 - 2003) 。
同日12:30 PM、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy、1917 – 1963)がテキサス州ダラスで暗殺された。このCDはその特別な日の記録である。
→ ケネディ大統領暗殺事件 [ウィキペディア]
まず、ピアニストのスピーチ Spoken Introduction By John Browing から始まる(観客は起立しているようだ)。
- Regarding the assassination of President John F. Kennedy
観客が座し、そして特別なプログラムが開始される。
- J.S.バッハ(ブゾーニ編曲) コラール前奏曲《主イエス・キリスト、我汝の名を呼ぶ》BWV.639
- ショパン 幻想曲ヘ短調 Op.49
- シューベルト 即興曲 変イ長調 Op.142, No.2
- ショパン マズルカ ヘ短調 Op.63,No.2
- ショパン マズルカ ヘ短調 Op.68,No.4
- ショパン ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
ある人物を追悼するに相応しい、哀しみを帯びた音楽。バッハのコラールは言うに及ばす、長調で書かれたシューベルトの作品でさえ、その優しい響きが特別な感情に訴える。張り詰めた雰囲気の中で聴かれるショパンの最晩年のマズルカもそうだ。そして最後の《葬送ソナタ》で、この演奏会の意味が、誰にとっても明らかになる。
当時30歳になったばかりの若いアメリカ人のピアニストにとって、この日に、ショパンの《葬送ソナタ》を弾くことが、どれほどの重責であったのか。決して録音状態が良いとはいえないものの、この演奏の持つ雰囲気は特別なものだ。少なくとも、そんなことを感じながら、音楽を聴く「自由」はある。
そういえば、昭和天皇が崩御されたときも、このショパンの《葬送ソナタ》を特別な雰囲気の中で聴いた──しかも民法のテレビ局だったように思う。誰の演奏だったのか調べていたら、平成元年1月8日・日曜日の番組表を掲載しているサイトがあった。やはり特別な日の記録だ。
→ http://www.geocities.jp/jotx12ch/n890108mc.html