HODGE'S PARROT

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ブラームスの《シューマンの主題による変奏曲》



ドイツのピアニスト、ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz、b.1953)によるヨハネス・ブラームスのピアノ独奏作品全集を聴いている。録音は1989年──その風貌からしてなんだかとても貫禄があるオピッツであるが、意外に「若い」ときの演奏と言えるだろう。

Complete Solo Piano Music

Complete Solo Piano Music


ブラームスの音楽というと、個人的にまず交響曲(とくに第1番と第4番)、次に2曲のピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲、そして素晴らしい室内楽作品の数々をよく聴いている。それと《ドイツ・レクイエム》。ソロのピアノ作品は、一部の作品以外──例えば《パガニーニの主題による変奏曲》《2つのラプソディ》──実はそれほど聴いていないかな、と思う。グレン・グールドも録音したりして「通の人」から評価の高い、ブラームス晩年の《間奏曲》あたりは、いまいちピンとこないのが正直なところ。それよりも最初期の作品──3つのピアノソナタや《スケルツォ》Op.4 なんかが好きだったりする。

シューマンの主題による変奏曲》 Op.9 は、それほど演奏される機会が多いとはいえないけれど、とても気に入っている作品だ。そしてこのオピッツの演奏を聴いて、またグッときた。《パガニーニ変奏曲》に比べ、格段に地味で、シューマンの主題もまるで葬送行進曲みたいなのだが(2/4で嬰ヘ短調、原曲は《色とりどりの作品》Op.99)、でも時々、ハッとするような美しいメロディに出会うことができる。
それが、第14と第15の変奏。アンダンテとポコ・アダージョ──そして両変奏曲ともブラームスは「espressivo」(感情をこめて)と指示している。ここが(ここで)、何度聴いても、グッとくる。


いちおう YouTube にある演奏を記しておくと、例えば、
→ Brahms Schumann Variations op.9 (part 3)
の演奏の 0:50 以後のところ。


ね、とてもいい感じでしょ?