マウリツィオ・ポリーニの演奏するシューベルトのピアノソナタを聴いた。第19番ハ短調(D.958)と第20番イ長調(D.959)だ。
Franz Schubert:Klaviersonaten D 958 & D 959
- アーティスト: Franz Schubert,Maurizio Pollini
- 出版社/メーカー: Polygram Int'l
- 発売日: 1990/02/13
- メディア: CD
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とりわけ、第20番の第2楽章アンダンティーノの嘆きを吐露するかのような音楽は筆舌に尽くしがたい──どうしてシューベルトは「こう」なんだろうと思う。
なので他人の言葉を、この音楽の感想として、使わせていただく。シューベルトの音楽とは(多分)無関係に創られたものであるが。
オーストリアの文人フーゴ・フォン・ホーフマンスタール(Hugo von Hofmannsthal、1874 - 1929)の詩《体験》より。
この世界全体には 盛りあがる深い音色の
憂鬱な音楽がみちあふれていた そしてわたしは知っていた
どうしてかわからないが わたしは知っていた
これは死だ 死が音楽になったのだ
はげしくこがれながら 甘く また暗く燃えながら
この音楽は かぎりなく深い憂鬱のようだと
しかし何というふしぎさ!
いい知れぬ郷愁が 人生にあこがれて
わたしの心の中で 声をしのばせて泣いた
日ぐれ時 黄色の大きな帆をかかげた
大きな船に乗って 深青の水の上を行き
故郷の町のほとりをすぎる そのとき
涙する人のように泣いた
- 作者: ホフマンスタール,川村二郎
- 出版社/メーカー: 小沢書店
- 発売日: 1994/01
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ところでホーフマンスタール関連でウィキペディアを参照したのだが、「世紀末ウィーン」の項目が充実しているのに驚いた。英語版はもちろんドイツ語版よりも詳細を極めている。こういうのを見るとグッジョブと心から言いたくなる。
→ 世紀末ウィーン