HODGE'S PARROT

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ラロ:ピアノ三重奏曲

ここのところメシアンやミュライユといったギラギラした音楽ばかり聴いていたので、気分転換にフランス・ロマン派のシックな室内楽でも、とラロのピアノ三重奏曲を聴いた。演奏は英国のアンサンブル、バービカン・ピアノトリオ(The Barbican Piano Trio)。レーベルはASV。Made in U.K. /Printed in U.K.だ。

Lalo;the Three Piano Trios

Lalo;the Three Piano Trios


エドゥアール・ラロ(Édouard Lalo)と言えば『スペイン交響曲』ばかりが超有名で、まるで「一発屋」扱いであるが、しかしチェロ協奏曲を始め、魅力的な作品がいくつもある。このピアノ三重奏曲もそう。時折ハッとするような美しさに惹かれる。


第1番ハ短調 Op.7 (1850) は、とにかくメロディが甘く、感傷的。コンパクトな作品であるが、そのリリシズムは心地よく酔わせてくれる。メンデルスゾーンの作品のようだ。
第2番ロ短調 (1852)。 時折、激しく盛り上がるところもあるが、サロン風のエレガントさからは逸脱していない。最後も長調で終わる。
第3番イ短調 (1880)は、さすがに第1番から30年後の作品だけあって、規模も大きく書法も充実しており、とても聴き応えがある。解説にも記されているが、シューマンのような情熱さと大胆さ併せ持っていて、独特の興奮がそこにはある。


ところで、これらピアノ三重奏曲は、ウィキペディア日本語版エドゥアール・ラロ」の「主な作品」でもオミットされていて、やはり「知られざる」音楽なのかな、と思っていたのだが、英語版「Édouard Lalo」には載っていた。
それだけではない。この第1番は、なんとデヴィッド・ボウイカトリーヌ・ドヌーヴスーザン・サランドンが出演したトニー・スコット監督映画『ハンガー』(The Hunger, 1983)で使用されたということが書いてあったのだ。早速 IMDb で確認。

Original Music by
Denny Jaeger
David Lawson (electronic music)
Michel Rubini




Non-Original Music by
Gregorio Allegri (from "Miserere")
Daniel Ash (song "Bela Lugosi is Dead")
Johann Sebastian Bach (from "Suite #1 for solo cello in G-major/Partita #3 in E-major")
Léo Delibes (from "Lakmé")
Kevin Haskins (song "Bela Lugosi is Dead") (as Bauhaus)
David J (song "Bela Lugosi is Dead")
Edouard Lalo (from "Piano Trio No. 1 in C")
Peter Murphy (song "Bela Lugosi is Dead")
Maurice Ravel ("Le Gibet" from "Gaspard de la nuit")
Franz Schubert (from "Trio in E flat Op. 100")


バッハやラヴェルシューベルトの有名曲と並んで、ラロのピアノトリオもちゃんと記載されている。ただこの『ハンガー』、ホラー映画というのが気になる。ラヴェルは『夜のガスパール』から<絞首台>だし……。

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