HODGE'S PARROT

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ラーンキのシューベルト:ピアノソナタ第21番



シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調

シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調


最初に断っておくが、僕はシューベルトピアノソナタ第21番 変ロ長調 D.960 の第1楽章に関しては「繰り返しあり」を<正>としている。その観点からすれば、このハンガリーのピアニスト、デジュー・ラーンキ(Dezső Ránki、1951年生まれ)の録音は、繰り返しをしていないので「残念だ」ということになるが、しかし、それでもなお、とても印象的な演奏だったので、記しておきたくなった。

とても良い演奏だと思う。リリシズムに溢れ、しかしそれに溺れることなく端正であり、そしてピアノの音が何よりも美しい。また、とりわけ2楽章や終楽章に見られる、シューベルトらしからぬ情熱的な情動──それは、録音当時、このピアニストがまだ20代前半であったという若さによるものだろうか──に、胸が熱くなった。
シューベルトってやっぱりいいな、と思い、そしてこういったシューベルト(の情動)を聴かせてくれるラーンキというピアニストも、やはりいいな、と思った。
DENON の PCM DIGITAL RECORDING なので、録音が1975年だということが信じられないくらい自然な響きをこのCDから聴くことができることも、付け加えておきたい。