何気なく視聴したら、すぐに惹き込まれた! メチャクチャ楽しくてエキサイティングな音楽が聴こえてくるじゃないか。何なんだ、この4手連弾のピアノは! ブギーピアノ? 良く知らないけど、カッコイイじゃん。二人は兄弟だって? ラベック姉妹とはまた違うノリとパワーでピアノを叩き、爆音を轟かせる──PIANO BREAKER。すごいよ、この兄弟ピアノデュオは!
- アーティスト: Les Freres
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: CD
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「レ・フレール」(Les Freres)とはフランス語で「兄弟」のこと。事実、レ・フレールは斎藤守也と斎藤圭土という兄弟によるユニットなのだけど、ボーナスDVDに収録されている「レ・フレール講座」によると、彼らは7人姉弟兄妹の中の「兄弟」なのだそうだ。二人はルクセンブルク国立音楽学校で学んだ。
そのヨーロッパ仕込みの彼らがプレイするのが、ブギーという音楽だ。守也は留学中、ドイツで広まったブギウギに衝撃を受け、圭土はハンブルクのブギウギ・ピアノの代名詞とも言うべきアクセル・ツヴィンゲンベルガー(Axel Zwingenberger)の門を叩き、共演を果たす。
ブギ
ブギ(boogie)、ブギウギ(boogie-woogie)はポピュラー音楽のリズムの一種。ブギー、ともいう。ブルースのリズムであるシャッフル(1拍を3分割したリズム)から派生したスタイルで、スウィング・ジャズやロックンロールでよく使用される。
20世紀初頭にブルース・ピアノの演奏スタイルとして形作られ、1930年代からダンス音楽として広まり、スウィング・ジャズやカントリーに取り入れられた。
ウィキペディアより
Boogie-woogie (music)
In classical music, the composer Conlon Nancarrow was also deeply influenced by boogie-woogie, as many of his early works for player piano demonstrate. "A Wonderful Time Up There" is a boogie woogie gospel song.
Wikipedia より
- アーティスト: Axel Zwingenberger
- 出版社/メーカー: Vagab
- 発売日: 1989/02/02
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- アーティスト: Axel Zwingenberger & Jay
- 出版社/メーカー: Vagab
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[Boogie-Online]
[Axel Zwingenberger]
もちろん、ここで聴けるのは、レ・フレール独自のスタイルによる「ブギー」だ。1台4手による音の奔流に──とくに重低音の衝撃力と破壊力に──圧倒される。こういう活きの良い音楽って、なかなか聴けない。そのサウンドは心地よく、気持ちよく、元気と活力を与えてくれる。
そして前述の「レ・フレール講座」は、二人のライブでの「語り」の部分で、これが実に面白いのだ。ベーゼンドルファー・インペリアル、という最低音がCの音まであるデカいピアノ(通常のピアノはAまで)を前に、自己紹介というか身の上話をするのだが、これが見事なパフォーマンスになっている。なかなかのエンターテイナーぶりだ。
とくにピアノの重低音が好きな二人が、バイエルに飽き足らなくなって、重低音部分を作曲して披露するところ。僕もピアノの重低音が大好きなので(このエントリーを書きながら、無性にピアノの重低音を鳴らしたくなったので、キーボードから手を放しブラームスのラプソディ第2番を弾いた)、大きく頷きながら、そのパフォーマンスを大いに楽しんだ。
DVDに収録されている『On Y Va!』という曲も素晴らしかった。映像付きなので、息の合った二人の演奏は魅せるし、それを楽しんでいる観客の様子も、とてもよく伝わってくる。やっぱりライブはいいな。あの空間の雰囲気をぜひ味わいたい!
テオドール・アドルノ『不協和音』(三光長治+高辻知義 訳、平凡社ライブラリー) p.48
レ・フレールは、アニメソングを抜群のセンスでアレンジした『アニメ・ド・キャトルマン/Anime de Quatre-Mains』というCDもリリースしている。お馴染みのメロディを強烈な打鍵で楽しむことができる。
Anime de Quatre-Mains-アニメ・ド・キャトルマン-
- アーティスト: Les Freres
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2006/09/06
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[Les Freres Official Site]
『ピアノ・ブレイカー』には「Boogie Back to YOKOSUKA」という楽曲が収録されている。二人は横須賀生まれた。レ・フレールのルーツは横須賀にあるのだろう。CDの解説で池田卓夫氏は次のように記す。
横須賀は第二次世界大戦が終わるまで日本海軍、その後は米軍が駐留する港町。いま横須賀芸術劇場が建つ一角には米軍将校のクラブがあり、ジャズが盛んに演奏されていた。斉藤家周辺にもジャズは当たり前のように流れていたが、「子どもにとっては海あり、山ありの遊びの宝庫でしかなかった」という。