何気に──ここのところちょっと惰性気味で──『のだめカンタービレ #20』のページを捲っていた。
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/13
- メディア: コミック
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ぎゃぼー! ターニャがコンクールでシューマンの大傑作《クライスレリアーナ》を弾いているじゃないか!!!
《クライスレリアーナ》は僕の大好きな曲だ、そしてピアノ音楽の中で最高のものだと思っている。
とりあえずマルタ・アルゲリッチ/Martha Argerich の名演を聴いてみること。
- アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),シューマン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/09/05
- メディア: CD
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シューマンは絶えず「攻撃 attaque」するが、それは常に空隙においてである。
いちおう YouTube にあった《クライスレリアーナ》の演奏から。第1曲、第7曲、第8曲──僕はオイゼビウス系の曲よりもフロレスタン系のほうが好きで、とくに両手が縺れ、音が縺れ、重低音がガツンと鳴らされる第8曲「急速に、戯れるように」にはグッとくる。
Pamela Ross as 'Carreño' plays Schumann-Kreisleriana *1
Schumann - Kreisleriana op. 16 - Nr. 7 Sehr Rasch
Schumann - Kreisleriana Op. 16 - 8. Schnell und Spielend
(《クライスレリアーナ》第8曲における)「力を込めて Mit aller Kraft」という激しく絶望的な間奏曲は、悲痛な和声のまわりをリズム連打で取り囲む。このリズムは以後、シューマンの基礎となるダイナミックな主題の上で、小節を追うごとに激しく、密になっていく。
ひどく苦しみ、怯え、反抗的で、しかもなぜか幸せそうなクライスラーの影は、闇と靄の中に消えていった……。
『クライスレリアーナ』の真の新しさは、遅いテンポの主題に付せられた新しいアクセントにある。常軌を逸した楽長クライスラーが身のまわりに漂わせている、抑圧され、幻覚を引き起こす力をそこに聴き取ることができる。
マルセル・ボーフィス『シューマンのピアノ音楽』("La musique pour piano de Schumann" by Marcel Beaufils、小坂裕子/小場瀬純子 訳、音楽之友社)p.89
シューマンのピアノ音楽[ムジカ叢書] (ムジカノーヴァ叢書 (16))
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ワグネリアンもマーレリアンもたくさんいるのに、シューマニアンはジル・ドゥルーズ、マルセル・ボーフィスと私ぐらいのものだ。
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