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デンマークのピザ屋店長刑務所へ、米への忠誠足りないと「独仏差別」で




アメリカへの「忠誠」がない(disloyal)と、ドイツ人とフランス人を「差別」したとして、デンマークのピザ店経営者が刑務所に収監された。禁固8日だ。

Denmark jails 'racist' pizza man [BBC NEWS]

In February 2003 he had put up signs at his pizzeria with bars through the images of people coloured in the French and German flags.

He also reprinted his menus without German translations.

イラク戦争において、ドイツ、フランス両政府は、アメリカと対立した。したがって、アメリカへの忠誠(loyal)を尽くすこのデンマーク人ピザ店長にとっては、ドイツ人とフランス人は憎き奴である。だから「差別」をした。
彼は自分の店に、ドイツとフランスの国旗のイメージを象った来店禁止の標識を掲げた。むろん、メニューには、ドイツ語とフランス語は、ない。

デンマークの裁判所は、2003年6月、この46歳のピザ屋店長を「人種差別」の罪で有罪とした。しかし彼は、罰金の支払いを拒否。刑務所に収監されることになった。

"I'm doing it to show my sympathy with the United States," he said. He refused to pay a 5,000-kroner (£461;$800) fine.

新米「活動家」冥利に尽きる。


ただこのBBCの記事。先日のロンドン同時多発テロ事件で、「欧州の聖戦アルカイダ秘密組織」を名乗るグループの犯行声明文に、イタリアとともにデンマークが名指しされていたことを思い出させる。

デンマークは、このピザ屋店長のように、親米で反EUなのだ。

例えば「フォーリン・アフェアーズ」のある論説に、デンマークがいかにアメリカの忠実なパートナーであるのかが述べられている(そして、いかに独仏が米に競合しようとしているかも)。

アメリカとしては、安保条項がその重みゆえに崩落するのを漫然と望んでいるようではいけない。「NATOのメンバーシップを犠牲にした現在の憲法条項は絶対に受け入れられない」と反対論を展開すべきである。ワシントンは、緊密なNATO同盟諸国とともに、EU憲法条項の見直しを受け入れるように働きかけていくべきである。
そのため最善の戦略は、イギリス、ポーランドデンマークというヨーロッパの端に位置し、NATOにもEUにも加盟している三カ国をアメリカのパートナーにすることだ。この三カ国は、IGC(政府間協議)における草案の検討作業でも、憲法案の本質に懸念を示してきたし、いずれも、アメリカの中東政策と対テロ戦争を支持している。


ジェフリー・シンバロ『欧州はアメリカのパートナーかライバルか』(『論座』2005年1月号)

デンマークは欧州統合条約において、これまで、特異な立場をとってきた。マーストリヒト条約をめぐる国民投票も、二度にわたって条約の批准を拒否した。ユーロからの離脱、NATO以外の安保構想から離脱する権利を認める特別条項を盛り込んだことで、ようやく、マーストヒリト条約が国民投票で批准された──50.7%の支持で。
またデンマークの一部であるが、それぞれ自治権を持っているグリーンランドフェロー諸島は、「本国」デンマークよりも、カナダやアメリカに近い。欧州憲法条約では、これらの自治領の扱いが明確ではない──それがデンマーク人にとっては不満のようだ。

そして中道右派のラスムセン首相は、グレンイーグルズ・サミット直前にもブッシュ大統領と会談をしている


それにしても、このBBCの記事。2年も前の──しかも外国のちょっとした──「事件」を、今この時期に、クローズアップさせて、「欧州の聖戦アルカイダ秘密組織」を刺激しないのだろうか?