HODGE'S PARROT

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極右の言い分 ルペン党首インタビュー

英『ガーディアン』の記事にもあるように、フランスの極右政党・国民戦線の支持は、ここのところ増加しているようだ。

その国民戦線の党首ジャン・マリー=ルペン(Jean-Marie Le Pen)──2007年の大統領選への出馬も早々と表明した──のインタビュー記事が『論座』(2006年2月号)に掲載されていたので、その主張をざっと記しておきたい。インタビュワーはパリ在住のジャーナリスト、及­川­ 健二氏。

ルペン氏の主張は明快である。一言で言えば、つまるところ、
全てはアメリカが悪い!
である。
反米左翼と同じである。グローバリゼイションに反対しているところも、である。ただ、「マルチチュード」とかは言わないだけだ。
もう少し詳しく追ってみよう。
グローバリズムと国家について

世界には共産主義者やロックフェラーのような国際金融資本など、特定の世界構想を抱いているグループがある。彼らにとって国家は解体されるべき邪魔者です。ところが私は、国民/国家の防波堤です。だから、私は公共の最大の敵といわれながらも、フランス国民の最大の仲間であるわけです。

イラク戦争について

イラク戦争には怒りを覚えるとともに、湾岸戦争以後つづけられた、とりわけイラクの乳幼児の死亡率を飛躍的に高めた殺人的な経済封鎖措置に対しても、私は強烈な怒りを感じています。国連の統計では150万人の子どもたちが食料・医薬品不足で死んだといわれています。この経済封鎖は人道に対する犯罪です。

欧州連合アメリカについて

アメリカは政教分離イラクを解体し、イラン、シリアの解体も狙っています。そして、バルカン半島イスラム国家をわれわれ(欧州)に押しつけ、今、もう一つのイスラム国家トルコの欧州連合EU)加盟を画策しています。これらはアメリカの政策であって、フランスの政策でもEUの政策でもない。アメリカが彼らの国益に基づく地政学的な戦略を構想するのは勝手ですが、彼らの行動は、われわれの国益と両立しないばかりか、その反対です。

アメリカの世界戦略について

アメリカはアラブ世界と何をやっているのか。アラブ諸国のツケをわれわれに支払わせ、アメリカはその分をイスラエル支援に充て、アラブ諸国には、外交的、政治的に埋め合わせをしているにすぎない。私はこれが世界の平和的均衡に妥当するものとは思いません。


明快である。そして、国家・祖国への信望以外は、ますますもって、反米左翼を彷彿させる言明である。
ところでルペン氏は、このインタビューで、政治的敵対者からの人種差別主義者、排外主義者、外国人嫌い、反ユダヤ主義であるという「攻撃」に反論している。自分は国民議会のパリ選曲でアラブ人を候補者に推薦した最初のフランス人であると、わが党は1986年にはイル・ド・フランス地方圏議会議員選挙でアラブ人女性を初めて当選させたと、そして党の指導部には常にアラブ人、黒人、ユダヤ人を置いてきたと。

私はフランス国民に対して、けっして人種的偏見をもっていません。それはフランス国民の歴史に照応しないのです。

多様性を重んじること──それがグローバリズムと距離を置く彼の姿勢である。したがって「欧米の民主主義」を押し付けてはならない、と主張する──もちろん「ポストコロニアル」なんていう言葉は用いないが。
ルペン氏はアンリ4世の言葉を引用する。「フランスへの愛着がすべてを容易にする」。