HODGE'S PARROT

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バリオス《郷愁のショーロ》



ジョン・ウィリアムズ/John Williams の70年代の映像が YouTube にあった。この音楽に耳を澄ませて欲しい。
Choro de saudade - Agustin Barrios

曲は、アルバン・ベルクと同年に、南米はパラグアイで生まれたアグスティン・バリオス(Agustín Pío Barrios、1885 - 1944)作曲によるギター曲《郷愁のショーロ》(悲しみのショーロ)。何年か前に、たまたま耳にした、その哀愁を帯びたメロディに衝撃を受け、すぐさまCDを買いに走った。それがエドゥアルド・フェルナンデス/Eduardo Fernandez のものだった。

La Danza!

La Danza!


ヴィラ=ロボス以外は初めてその名前を聞く作曲家ばかりだったが、このCDにはすっかり魅了された。とくにバリオスの音楽には「まいって」しまった。ギターという楽器の持つ──肺腑を抉るような──表現力というものを改めて知った。フェルナンデスのCDには収録されていないが、《大聖堂》(La Catedral)や《最後のトレモロ》(El ultimo trémolo)──中国語だと「最後的顫音」と表記するようだ──にも、心が震えた。
Ana Vidovic : La Catedral - Agustin Barrios Mangoré

バリオスの作品は、3つの根本的なカテゴリーに分けることができる。国民楽派パスティーシュ、宗教性である。中米や南米の民謡を模倣した楽曲を創り出すことによってバリオスは母国の音楽伝統や民衆に敬意を払っている。バロック音楽やロマン派音楽の時代様式と作曲技法を模倣することは、バリオスの職人芸の一端であり、《大聖堂(La Catedral)》(1921年)はバッハの摸作と看做し得る。この《大聖堂》は、バリオスの宗教体験に触発されており、したがって宗教的な楽曲に分類してもよい。信仰心や宗教体験は、バリオスの作曲過程においても重要な役割を担っている。「最後のトレモロ」という通称で知られる《神様のお慈悲に免じてお恵みを(Una Limosna por el Amor de Dios)》は、信仰心に触発されたもう一つの例である。




アグスティン・バリオス [ウィキペディア]

Augustin Barrios: Una Limosna por el amor de Dios