あの限りなく美しい『レクイエム』を書いた、フランスの作曲家モーリス・デュリュフレ(Maurice Duruflé、1902 - 1986)のオルガン曲を聴いた。
演奏はヘンリー・フェアーズ/Henry Fairs 。パリのノートルダム・ドートゥイユ教会にある、アリスティド・カヴァイエ=コル製作のオルガンを弾いている。
- アーティスト: Durufle,Fairs
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2007/05/29
- メディア: CD
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- ソワッソン大聖堂のカリヨン時計の主題によるフーガ Op.12
- 前奏曲、アダージョと「来たれ、創り主なる精霊」によるコラール変奏曲 Op.4
- 公現祭の入祭唱による前奏曲 Op.13
- スケルツォ
- アランの名による前奏曲とフーガ Op.7
- 瞑想曲
- ジャン・ガロンを讃えて
- 組曲 Op.5
デュリュフレは寡作であった──出版されたのはわずか14曲。上記の作品が遺作を含めた彼のオルガン曲のすべてである。曲想はどれも神秘と瞑想に彩られている。たとえ動きのある曲でも、決して威圧的に響かない。やはりあの『レクイエム』の作曲家の音楽である。
とりわけ、29歳で戦死した作曲家でオルガニストでもあったジャン・アラン(Jehan Alain、1911 - 1940)のために書かれた《アランの名による前奏曲とフーガ》は、独特の色彩感と甘美な旋律──アランの作品を引用、そして緊密に構築されるフーガによって、非常に聴き応えのあるものになっている。素晴らしい作品だ。
また、遺作の《瞑想曲》は三分ちょっと、《公現祭の入祭唱による前奏曲》は二分ちょっと、《ジャン・ガロンを讃えて》に至っては二分にも満たない音楽であるが、目を瞑って聴きたくなるような、安らぎがそこにある。「前奏曲」「シシリエンヌ」「トッカータ」からなる《組曲》では、オルガンという楽器の魅力が最大限に引き出され、その充実した響きに、じわじわと胸が高鳴り、グッとくる。
[Cavaillé-Coll organ at the Church of Notre-Dame d'Auteuil]