HODGE'S PARROT

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ゲイ映画ベスト10



AfterElton.com で Greatest Gay Movies と銘打ったゲイ・ムーヴィ50作が選ばれた。


ま、妥当か……いや、なんか微妙に僕のタイプと違う。なので、僕も10作ほど選んでおきたくなった──だってアレもコレも入ってないし。一応断っておくけれど、僕は第1位の『ブロークバック・マウンテン』は「まだ」観ていないので、そのつもりで。

CONNIVENCE 共謀
愛する人のことを競争相手と話し合っている自分を想像する。奇妙なことにこのイメージは、恋愛主体の心に共犯者としてのよろこびを育てる。




ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』(三好郁朗 訳、みすず書房) p.97 *1


1.アナザー・カントリー/Another Country

アナザー・カントリー [DVD]

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マイ・フェイバリットはこれだな。ルパート・エヴェレット主演によるケンブリッジ・スパイガイ・バージェスをモデルにした映画。美しい映像もさることながら、暗い色調のメインテーマ、そして何よりもスパイという「裏切り」をテーマにした映画で、「私は汝に誓う、我が祖国よ」(I Vow To Thee, My Country)──ホルスト組曲《惑星》の「木星」でも使用されている──という「愛国的な」音楽が劇中、歌われるのはさすがだな、と思った。グッとくる。
Another Country


2.恍惚/Swoon

トム・ケイリン監督によるレオポルドとローブの事件を扱った作品で、以前も書いたように、テーマの深さとスタイリッシュな映像、そして主演の二人のカッコよさが、ほとんどトラウマになっているくらい好きだ。


3.司祭/Priest

司祭 [DVD]

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キリスト教カトリック)と同性愛を正面から、そしてときにユーモアを交えて描いた映画。個人的には主演のライナス・ローチが僧服から革ジャンに着替えてゲイ・バーに行くところが、いい。

この世に対しては他所者であったが、つねに神の身近にある、親しい身内とされていた(ヤコブ・四の四)。かれらは自分を、いわば何の価値もないもののように、またこの世からは見下されたもののように見なしていたが、神の眼には、大切な、愛せられるものであった。かれらはつねにまことの謙遜の中にあって、ひたむきな随順の中に生き、愛と忍耐との中に歩みをつづけた。それゆえに、日ごとに霊において向上し、神のもとでいつも大いなる恵みを与えられたのである。
かれらはすべての修道者の模範とされる。




トマス・ア・ケンピス『キリストにならいて』(大沢章/呉茂一 訳、岩波文庫) p.40 *2

4.ケレル/Querelle

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ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの『ケレル』の鮮烈さも忘れられない。ブラッド・デイビスをはじめとする水兵たちも凄くセクシーだ。

Querelle of Brest (Faber Essentials)殺人の観念はしばしば海の観念、水兵の観念を呼び起こす。海と水兵は、この場合、正確なイメージとなって現れるのではない。むしろ殺人はわたしたちの心の内部に、彼によって砕け散る情緒をつくりなす。もし港が犯罪の繰り返される劇場だとするならば、わざわざ説明するまでもなく、このことは容易に理解されるだろう。




ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』(澁澤龍彦 訳、河出書房新社) p.3

5.モーリス/Maurice

モーリス restored version [DVD]

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ジェームズ・アイヴォリー(とイスマイル・マーチャント)の映画はどれも好きだけど「ゲイ映画」といったらこれだな。E.M.フォースターの小説も感動的だった。

6.ぼくを葬る/Le Temps qui reste

ぼくを葬る [DVD]

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フランソワ・オゾンも好きだ。『サマードレス』でセバスチャン・シャルルがシェイラ/Sheilaの『Bang Bang』をバックに「なりきる」ところなんて最高に面白かった! 

Le Temps Qui Reste



7.ポイズン/Poison

ケレル』と同じくジャン・ジュネの小説にインスパイアされた映画。この作品も忘れ難い。ベスト50に挙がっているトッド・ヘインズの『ベルベット・ゴールドマイン』は後で観なくては。『アイム・ノット・ゼア』も。
Out at TIFF - I'm Not There

アイム・ノット・ゼア [DVD]

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8.ラズベリーライヒ/The Raspberry Reich

ラズベリー・ライヒ [DVD]

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ブルース・ラ・ブルースは「ハードコア」のヤツも好きなのだが、いちおう「一般映画」から(笑)。
『No Skin Off My Ass』のだらだらした感じも好きだ。


異性愛は大衆の阿片である”
Heterosexuality is the opiate of the masses


9.愛する者よ、列車に乗れ/Ceux qui m'aiment prendront le train

Those Who Love Me Can Take the Train [DVD] [Import]

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パトリス・シェローは──オペラの演出だけではなく──映画も、やっぱり美しいな。ヤナーチェクのオペラ『死者の家から』(ピエール・ブーレーズ指揮)は通常の意味では美しくないだろうが、迫力があった。

ワーグナー:楽劇《神々の黄昏》全曲 [DVD]

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10.愛の悪魔/LOVE IS THE DEVIL

愛の悪魔(トールサイズ廉価版) [DVD]

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フランシス・ベイコンの描く歪んだ肖像(Study for a portrait of Francis Bacon)も、もちろん、見ものであるが、やはり何といってもジョージ・ダイアー/George Dyer 役のダニエル・クレイグが見せて/露出し/魅せてくれることだ。

フランシス・ベイコンの偏奇人体が与える印象は、白人のくんにゃりと柔らかい男根の手触りと色彩だ。




滝本誠『きれいな猟奇』(平凡社) p.210


それと、番外として「ゲイ映画」ではないけれど、しかし個人的には「最高のゲイ映画」だと思っているブライアン・シンガー監督による『X-MEN』シリーズと、

そして”genuinely revolutionary”とニューヨーク・タイムズに評されたTVドラマ『Queer as Folk』を挙げておきたい。

Queer As Folk prom dance


DRAMA 小説/ドラマ
恋愛主体が自ら自分の恋愛小説を書くことはできない。彼が物語りえぬままに朗じているできごとを収めうる形式があるとしたら、それはいたってアルカイックなものであろう。




ロラン・バルト『恋愛のディスクール・断章』 p.140

[関連エントリー]

*1:

恋愛のディスクール・断章

恋愛のディスクール・断章

*2:

キリストにならいて (岩波文庫)

キリストにならいて (岩波文庫)