駄目ＰＶ100選５　Yazoo

Yazoo（ヤズー、米Yaz）の≪Only You≫。アルバム『Upstairs at Eric's』（1982）に収録された。
Yazoo Only You

未来的サウンド（当時）と大胆な映像が素晴らしい。クラフトワーク／Kraftwerk、デペッシュ・モード／Depeche Mode などと同様、ピコピコしたエレクトリックな音なんだけど、それが不思議とヒューマンな優しさを感じさせ、叙情的なメロディと相俟って、なんとも言えない懐かしい気分にさせてくれる。

≪Don't Go≫や≪Nobody's Diary≫もカッコイイ曲だ──そのタイトルも。
Yazoo - Dont Go

「記憶力」を精神のたんなる一能力とみなしてはならない。ベルクソンのいう記憶力とは、現在のなかに過去を反復したり再生したりする特殊な能力というのではなく、精神そのものに与えられた別名にほかならない。それゆえベルクソンは、「存在が事物の流れのリズムから身を引き離し、ますます深く未来に働きかけるためにますます過去を保持することを可能にする内的な力、すなわち、結局、われわれがこの語に与える特別な意味において、記憶力」と語っている。

ベルクソンが持続の緊張を語ることによって意味せんとしようとしたこうした記憶力の働きによって、持続は変化であると同時にまた実体的であり、過去は現在と並置されることなく一体を成し、現在のなかに伸長し、新しいもの、予見されざるものを創造することが可能になる。

谷川渥『美学の逆説』（ちくま学芸文庫） p.183-184