カナダ人のコリー・ハート/Corey Hart(b.1962)を挙げておこう。曲は、彼のデビューアルバム『First Offense』から≪Sunglass At Night≫。1984年にリリースされた。
Corey Hart, Sunglasses At Night
街中の人が──子供まで──サングラスをかけているのが笑える。なんだか『マトリックス』みたいだ。で、Wikipedia を見ると、
The original version of Sunglasses At Night was about a totalitarian society that made everyone wear their sunglasses at night; however under pressure from Hart's record company to make something more marketable, the song was altered to be more "romantic". The video, however, reflects the original vision of a police state.
この曲には市民にサングラス着用を強要する全体主義社会のイメージがあるのだという。全編にわたって執拗に反復される特徴的な音形は、その「イデー・フィクス」なのかもしれない……。ま、メロディはロマンティックなものだけどね。
それにしても、単調なビートに合わせて体を大きく揺らし悶えているコリー・ハートの姿は、セクシーだなあ。
and I wear my sunglass at night
so I can so I can
keep track of the visions in my eyes.
ここのところファシスト美学のテーマを連想させる芸術が流行している。たいての人々にとっては、それは多分キャンプの一変種にすぎないものであろう。ファシズムはファッション以上のものではないかもしれないし、あるいはひたする無差別な趣味をもつファッションはわれわれの救いであるかもしれない。
しかしその趣味から生ずる判断となると、そう無害なものではないように思える。
スーザン・ソンタグ「ファシズムの魅力」(『土星の徴しの下に』所収、富山太佳夫 訳、晶文社、asin:4794936753) p.114
- アーティスト: Corey Hart
- 出版社/メーカー: Aquarius Music
- 発売日: 2003/08/19
- メディア: CD
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