HODGE'S PARROT

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愛撫する舞踏 スタニスラフ・ネイガウスのスクリャービン



「ロシア・ピアニズム名盤選55/シューマン、ドビュッシー&スクリャービン作品集」に収録されている、スタニスラフ・ネイガウス(Stanislav Neuhaus、1927-1980)の弾くスクリャービンピアノソナタ第5番Op.53 は、ライブならではの熱狂と陶酔が印象的だった。

そんなS・ネイガウスの映像が YouTube にあった。曲は同じくスクリャービンの練習曲嬰ハ短調Op42-5 。
Scriabin - Etude op. 42 no. 5 C sharp minor - Neuhaus



ところどころミス(傷)があるが、この曲を、このスピードで弾くのはネ申だね。演奏効果の高い、多分一番有名な嬰ニ短調Op8-12のエチュードより難関だと思う。Op8-12はわりとアップされているけれど、Op42-5はあまりなく、「Responses」の方々はボロボロだし……。


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このCDは、スタニスラフ・ネイガウスの死の3ヵ月前1979年10月9日、モスクワ音楽院大ホールで行われたリサイタルの記録。父ゲンリヒ・ネイガウスを記念したコンサートだという。
かなり独特の表現にミスタッチも目立つ。が、異様なほどテンションが高く、そこで繰り広げられる切迫感と暗いロマンティシズムには、抗し難い魅力がある。とくにスクリャービンが。
最初に書いたピアノソナタ第5番Op.53の他、CDには、スクリャービンの奇妙なタイトルを持つ小品が入っている。

  • たよりなさ/Fragilite Op.51-1
  • 2つの小品 Op.57 ≪欲望/Desir≫≪愛撫する舞踏/Caresse dansee≫
  • 2つの詩曲 Op.63 ≪仮面/Masques≫≪不思議/Etrangete≫
  • 練習曲嬰ニ短調 Op.8-12

解説によると、S・ネイガウスは、1949年ショパン・コンクールのソ連の選抜メンバーから突然外され、1953年のロン=ティボー国際コンクールでは本選で失敗してしまったという。「純粋にピアニストとしての技巧が不足している」という批評も、彼に対してあったそうだ。

併録はシューマンの≪クライスレリアーナ≫Op.16、≪色とりどりの小品(抜粋)≫Op.99、ドビュッシーの≪前奏曲(抜粋)≫。