HODGE'S PARROT

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ヴィヴァルディ≪調和の霊感≫



寒い。小池真理子の『死に向かうアダージョ』──緊迫感が高まったところで主人公がほうじ茶を飲みたくなるシーンを、ふと思い出した。
で、トーマソ・アルビノーニの≪弦楽とオルガンのためのアダージョ≫を聴こうとCDを探していたら、目に入ったのが、イタリア合奏団/I SOLISTI ITALIANI の演奏による≪調和の霊感(調和の幻想)≫だ。すぐさま、第6番イ短調RV356のメロディと楽譜と第3ポジションの指の位置が思い出された。

ヴィヴァルディ:協奏曲集「調和の霊感」

ヴィヴァルディ:協奏曲集「調和の霊感」


モダン楽器による演奏で、ヴィブラートをかけた艶やかなヴァイオリンの音色が美しい。テンポも、速くもなく遅くもなく、心地いい。バロック音楽古楽器/ピリオド奏法が主流になってしまったが、モダン楽器による演奏も捨て難いものがある。
有名な二つのヴァイオリンのための協奏曲第8番イ短調RV522や、バッハがチェンバロ協奏曲に編曲した四つのヴァイオリンのための協奏曲第10番ロ短調RV580など、複数の楽器の響きが絶妙に溶け合って、まさにハーモニーの美しさが際立つ。




Canon & Fugue

Canon & Fugue


肝心の「アルビノーニアダージョ」はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で。
古楽演奏の対極、というか、そんなものは眼中にないロマンティックな演奏。荘厳な≪アダージョ≫はマーラー風であるし、ヴィヴァルディのフルート協奏曲ト短調RV439≪夜≫やグルックの≪精霊の踊り≫の甘美さは、ドビュッシーあたりと比べたいくらい。「パッヘルベルのカノン」、モーツァルトのセレナード第6番K239≪セレナータ・ノットゥルナ≫、J.S.バッハの≪G線上のアリア≫も極上の響きで耳を楽しませてくれる。