HODGE'S PARROT

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ゲイのジャーナリストはどうすればいいんだ?




昨日のエントリー「性的指向に言及されないことの幸せ」や「悲しきリベラルたちの背信」でも書いたことだが、いわゆる「リベラル系ブログ/ブロガー」というのは、いったい「何をもって」リベラルなんだろうか。

前述したエントリーでクレイムした「暗いニュースリンク」のジェフ・ギャノン事件。これは、共和党寄りの保守系ジャーナリストが同性愛者であったことをスキャンダラスに扱ったものだ──当該人物の「裸体」までも掲載している。

じゃあ、イラク戦争の「真の姿」を伝えたジャーナリストの場合はどうか。
以前僕は「国防総省 v ゲイ・ジャーナリスト」というエントリーを書いた。

これは、アメリカABCテレビの記者ジェフリー・コフマン(Jeffrey Kofman)が、イラク戦争について「ブッシュ政権国防総省に不利になりかねない」記事を配信した──それに対し、国防総省側が、ジェフリー・コフマン氏に対する個人攻撃を仕掛けたというものだ。

その個人攻撃とは……コフマン氏の国籍並びに性的指向への攻撃である。彼はカナダ人でありゲイだからだ

このニュースは、「田中宇の国際ニュース解説」でも触れられたので記憶している人もいるだろう。
イラク駐留米軍の泥沼

こうした報道を放置すると、米国内の反戦運動につながるし、軍全体の士気に悪影響を及ぼす。そう考えた国防総省は、これを報じたABCテレビの記者(Jeffrey Kofman)に対する個人攻撃を行った。彼がゲイだということを自ら発表した人で、しかもアメリカ人ではなくカナダ人だということを利用して「ゲイの外国人が米軍の評判をわざと傷つけようとしている。天下のABCがこんなことをやっていいのか」といった感じのプロパガンダ作戦を展開した。国防総省を支持する勢力には、ゲイを毛嫌いする思想の持ち主が多く、彼らにとってはゲイ差別と国粋主義運動の両方を煽れる格好の反撃だった。

共和党寄りの発言を行っていた記者(ジェフ・ギャノン)は、彼の性的指向が<攻撃>の対象となる──リベラル・ブロガーによって。
戦争遂行に批判的な記事を書いた記者(ジェフリー・コフマン)は、同じく、彼の性的指向が<攻撃>の対象となる──保守系ブロガーによって。

これは要するに、保守/リベラル、共和党民主党も関係ない、ということだ。そんな「区別」は存在しない。「構造」は一緒だ。ただの「権力争い」でしかない。両者とも、政治的敵対者を貶めるために、同性愛という性的指向を利用しているだけだ。どちらも<卑劣>さにおいて変わりはない。

ゲイのジャーナリストはどうすればよいのか、え、「暗いニュースリンク」さん?