HODGE'S PARROT

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ジャマイカの同性愛嫌悪は我々イギリスの責任である

ジャマイカのレゲエ歌手らによる同性愛差別的な歌詞(リリック)をめぐって、イギリスではそれに抗議する反対運動が高まり、アルバムのボイコットや差別歌詞の削除、さらには歌手のコンサート中止にまで発展している。

しかし、ジャマイカの同性愛嫌悪は、そもそもイギリスの植民地支配が元凶にあるのではないか、というリベラル左派系ガーディアンのポストコロニアル的な記事。
Their homophobia is our fault [Guardian]
ガーディアンのインタビュアーは、ジャマイカのP・J・パターソン首相に、同国におけるゲイ・ライツ運動について尋ね、首相をナイーブにさせる。もちろん、パターソン首相は、ジャマイカの反同性愛的な「文化」がイギリスで「問題化」されていることを知っているからだ。首相はこう答える。

「ジャマイカの法律は、ジャマイカの議会で決定される。このことは決して譲れない。」
(よって、旧宗主国イギリスはジャマイカの内政に口出しをしないで欲しい)

パターソン首相は、1962年にジャマイカが完全に独立をする30年も前に生まれている。したがって、彼の中では「帝国主義」の記憶は生々しいものだ。

そして記事では、イギリス社会がジャマイカにおける同性愛差別を「告発する態度」は、ポストコロニアル的な政治に回収されないだろうか、と危惧を投げかける。

ジャマイカは「イギリスの旧植民地の中で最も失敗した統治がなされた国」で独立後も混乱に混乱を重ねた、と書かれている。さらに続けて、現在でも国は貧しく、教育水準も低い、健康管理も劣悪で、警察機構も信頼がおけない……。

ジャマイカの「国内問題」は、同性愛差別だけではない。他にも様々な矛盾が渦巻いている。同性愛差別の問題だけをクローズアップして「ジャマイカを語る」のは、「ミス・リーディング」につながるのではないか(それだけ、イギリスでは「ジャマイカにおける反同性愛問題」が議論されている)。

ジャマイカにおけるホモフォビアに対して、直接抗議・直接行動をすることがイギリスのリベラル派の「流行」になっている。しかし「真のリベラル」が主張すべきは、ジャマイカの国の負債を減らし、公正な貿易をし、投資を行い、貧困状態を改善すること──そのことによってジャマイカ社会を変えていくこと──ではないのか。その結果、同性愛嫌悪も漸次消滅していくだろう、と記事は〆る。


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