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マイケル・ナーヴァ、ブッシュ再選を語る

『このささやかな眠り』や『ゴールデンボーイ』(ともに創元推理文庫)などのミステリー作品で知られる作家で弁護士のマイケル・ナーヴァ氏が、今回の大統領選挙について、Advocate に意見を寄せている。

We are the counterbalance [Advocate]

ここでナーヴァは興味深い指摘をしている。1860年から1932年までの72年間、アメリカは二人の民主党大統領がホワイトハウスで執務を行った。この期間は計12年。歴史的には圧倒的に共和党優勢なのである。しかし1932年から1968年までは、民主党政権時代が合計28年に上る──実はこの期間こそが「特殊」だったのである。そして1968年から2004年までは、民主党大統領はたった二人……カーター一期、クリントン二期で計12年。

この傾向から判断すると、今回の選挙は決して「アルマゲドン選挙」ではなく、共和党の「地すべり的勝利」でもない。「通常」の出来事である。民主党は多くの州で優勢であったが、しかし、これまでと同様、いつだって民主党大統領を選出する道は険しかったのである。現在は1968年以来の「揺り戻し」の期間なのかもしれない。
もちろんキリスト教右翼の台頭は新しい現象ではない、「アメリカの伝統」である。キリスト教原理主義は「アメリカの発明」ですらある。宗教右派はこれまでも政治に口を出してきていた。1920年代──圧倒的に共和党優勢の期間において、禁酒法が制定され、進化論を教えることが禁じされたように。

しかしアメリカは確実に変わってきている。70年代初頭、マイケル・ナーヴァが学生だったころは、ゲイやレズビアンは弁護士の資格が取れなかった。当時はソドミー法があり同性愛が禁じられていたからだ。しかし現在は「同性結婚」をみんなが──超特別な権利としてではなく──普通に議論している。この「状況」をもっと自覚してよい、そう悲観的なものではない、と。

重要なのは、現在は、文化的保守やキリスト教主義に対し、文化的な反対勢力(counterweigh)が存在すること。つまり「私たちが counterweigh であり、単なる惨めなマイノリティではないこと」だ。

そしてヘンリー・リオス作品の作者らしく、ナーヴァは、ラングストン・ヒューズを引用する。

You are white yet a part of me, as I am a part of you. That's American.

Sometimes perhaps you don't want to be a part of me.

Nor do I often want to be a part of you.

But we are, that's true!

ゴールデンボーイ (創元推理文庫)

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喪われた故郷 (創元推理文庫)

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