ベンジャミン・ブリテンのオペラ≪ねじの回転≫(The Turn Of The Screw、1954年)をDVDで観た。言うまでもなく原作はヘンリー・ジェイムズの小説だ。そしてこれも言うまでもないが、イギリスのオペラなので、当然、英語で歌われる。
リチャード・ヒコックス指揮、シティ・オブ・ロンドン・シンフォニアの演奏。
- 出版社/メーカー: Opus Arte
- 発売日: 2005/01/31
- メディア: DVD
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この映像は、オペラの舞台をそのまま収録したものではない。「フィルム(映画)版」とでも言ったらよいだろうか。BBCによる製作で(ケイティ・ミッチェル演出)、音楽にあわせて、ドラマが展開される。したがって、映像は凝っており、まるでゴシック・ホラーのような雰囲気を湛えている。
とくにピーター・クィント(マーク・バドモア)が登場する場面の妖しくも耽美的な映像は、その幻想的な音楽と相俟って、とても印象的だ。マイルズ(第6場「ピアノ」で大人たちを巧みに操る)とフローラ(真っ赤な衣装が霧のかかった沼地で鮮やかに映える)も、最初はちょっと小生意気そうであるが、次第に幽霊に魅了されていき、「あちら側」に引き込まれていき、ラストのカタストロフィー「Peter Quint, you devill」を見事に、効果的に、準備する。
YouTube にその映像があった。アカウントを見ると、DVD の発売元であるようだ。短いが雰囲気はつかめるだろう。
Britten: The Turn of the Screw (Opus Arte)
「あのね」彼はとうとう言いました。「先生にもこうしてもらいたかったからなの」
「こうするって?」
「僕を──たまには──悪い子だと思ってほしかったの!」
ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元推理文庫)』(南條竹則+坂本あおい 訳、創元推理文庫) p.104
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