HODGE'S PARROT

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バランスシートが問題なのか

カリフォルニア州裁判所による同性結婚無効(Void)判決は、単なる同性結婚「禁止」よりも重大な問題を孕んでいることを、どれくらいの人が認識しているだろうか。こういったことを理解できずにジャック・デリダとクレミュー法(ユダヤ性)を言及しても、それは皮相なものでしかない。


Fate of Tangible and Intangible Benefits a Concern [Washington Post]

ワシントンポスト紙は面白い指摘をしている。タイトルの「Tangible」と「Intangible」は会計学貸借対照表(バランスシート)で使われる「有形(固定資産)」「無形(固定資産)」という言葉だ。

ここでポスト紙は、悲観に暮れるレズビアンカップルを紹介しながらも、カリフォルニア州にはすでに「ドメスティック・パートナー制度(Domestic Partnership registry)」があり、同性カップル異性愛カップルとほぼ同等の「社会保障(benefits)」を受けられることを述べる。実際に、ドメスティック・パートナー制度がある以上、「結婚(marrige)」という手段により獲得できる経済的ベネフィットはわずかなもののようだ。

そして、次に、サンフランシスコ市長ニューサム氏の発言が挿入される。

"We decided to put a human face on discrimination," he said. "It's not about discrimination in the abstract. It's about these people and their lives."

ここまで読んだとき、最初僕は、ポスト紙が、どこかの日本のテレビ局がやったように、(多少ヒステリック気味に)「差別」という言葉を叫ぶ市長側をフレームアップして、何かしらの「意図」を喚起させているのでは、と訝った。が、ちょっと違った。

ワシントンポストは最後に「結婚した」ゲイ・カップルが、経済的問題とは別の「結婚の意義」を紹介する。ある男性は、かつては両親や家族に自分のパートナーを「家族の一員」として認めてもらえなかったが、「結婚」したことによりパートナーとして認めてもらった、という。

"My family has never treated Seth like my life partner," he said. "Six years ago, my father wouldn't meet Seth. After we got married, that all changed. It made a big difference to them. That's more important than all those little things."

まあ、「他人事」だから書けるテクニカルな文章の見本と言えば、そうだろうが。