イギリスの写真家ポール・スミス(Paul M. Smith、b.1969)の撮る「若い男たち」(lads)はとても魅力的だ──酔っぱらって、ハイになって、馬鹿騒ぎをしている「彼ら」のスナップショット ”Make My Night”。そんな「lads' culture」を激写するポール・スミスのウェブサイトを「発見」した(何しろ英国で Paul Smith と言えば有名なファッション・デザイナーを始め、非常にありふれた名前なので、一発でヒットしない)。
[Paul M. Smith]
この彼のオフィシャルサイトに掲載されている作品の中で「個人的に」真っ先に目が行くのは、「フットボールに興じている」ロビー・ウィリアムズ/Robbie Williams を撮ったものだ。というか、ロビー・ウィリアムズのアルバム『Sing When You're Winning』の写真を見て、それに惹かれ──とりわけ Bath に──、ポール・スミスという写真家を知ったのだった。
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ポール・スミスの作品には特徴がある。ロビー・ウィリアムスのジャケットでもそうであるが、スミスは「男性の集団」を撮りながら、その顔はすべて「一人の男性」に加工されている。その多くは、写真家本人の顔──自画像──である。
例えば”Artist Rifles”シリーズでは軍隊をテーマにしている。それは彼が「アーティストになる前に」軍務に就いていたことに関係がある──英国工兵隊(Royal engineers)という「若いイギリス人男性の文化」に彼は「入隊」していた。そしてここでも軍人たち=軍隊は「一人の男性」から成り立っている──「その文化」に参加=入隊していた/している彼がいる/いた。
ウェブサイトの説明によれば、彼が追求しているのは「masculinity」の意味と構築だという。
写真家は略奪もすれば保存もする。また告発もすれば神聖化もする。
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