HODGE'S PARROT

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サブジェクト '86 ペーター佐藤



古本屋でたまたま見つけ手に取った『ピアチューレ ラカン』(piacere RAKAN、ラカンプレス)という雑誌。

実はこの雑誌の存在すら知らなかったのだが(一瞬、その雑誌名と幻想的なカヴァーから「お洒落な」精神分析の本かと思った)、男性向けファッション雑誌のようで、ちょっと捲ってセンスの良い写真とモデルが気に入ったので買ってみた。特集は「西ドイツの」ベルリンを取材した「伯林新世紀物語」だった。1986年12月号 No.4 、20年以上も前に発行されたものだ。

で、カロル・シマノフスキKarol Szymanowski、1882 - 1937)の、宗教音楽と言うにはあまりにも官能的かつ神秘的な《スターバト・マーテル/Stabat Mater》を聴きながら、パラパラとページを捲っていたら、あまりにも魅力的なイラストが掲載されており、しばらく見惚れてしまった。
ペーター佐藤(Pater Sato)氏による、SUBJECTS '86 と題された作品群であった。



それでペーター佐藤氏についてウィキペディアを見たのだが、すでにお亡くなりになっていて、ショックを受けた。憶測では書きたくないのだが、1994年に40代の若さで肺炎で亡くなったことは、正直気に掛かる。
しかしそれにしても、「Pater's Shop and Gallery」で見ることのできる──そして購入することのできる──ペーター佐藤氏の残した作品の数々は、やはり印象的であった。甘く、若く、優しく、幸福に満ちている。一度見たら絶対に忘れることができない。


[Pater's Shop and Gallery]

僕はNYにいた時、新聞とか雑誌は読むものではなくて、見るものでした。まあ語学力の問題もありますが、もともと視覚型の人間ですから見るだけでもそのニュアンスは掴めたんです。で、その中で気に入った情報──つまり僕の場合、具体的には写真やイラスト──をファイルしていたわけです。


ある時、たまったファイル──ほとんどがポートレイトでしたが──を見返してみるとこれがスゴクいいんです! つまり僕が無限にあるものの中からセレクトして切り抜くということは、その時点でそのメッセージに何らかの反応をしているということになります。
そしてそれを言い返せば、自分がチョイスしたという意味において自分からのメッセージにもなり得ると思ったんです。




ペーター佐藤サブジェクト '86 後記」より


多分、メッセージ(手紙)は、届く人のところには、やはり届くのだと思う。



PATER

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