イギリスのシンクタンク研究員、マーク・レナード/Mark Leonard の著書が邦訳されていることに先日気がついた。『アンチ・ネオコンの論理 ヨーロッパ発、ポスト・アメリカの世界秩序』(原題 Why Europe Will Run the 21st Century)だ。
アンチ・ネオコンの論理―ヨーロッパ発、ポスト・アメリカの世界秩序
- 作者: マークレナード,Mark Leonard,山本元
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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マーク・レナードは現在、European Council on Foreign Relationsのエグゼクティヴ・ディレクターなのだが、以前彼はデモス/Demos というシンクタンクに所属しており、ブレア労働党政権のブレーンとして「ニュー・ブリテン」を演出した。ケンブリッジ大学卒、若干23歳のレナードが提唱したのが『登録商標ブリテン』(Britain TM : Renewing Our Identity)。「ニュー・ブリテン」のイデオローグとなった。
Britain: Renewing Our Identity
- 作者: Mark Leonard
- 出版社/メーカー: Demos
- 発売日: 1997/01/01
- メディア: ペーパーバック
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[Demos official site]
Demos は YouTube にもチャンネルを持っており、刺激的な研究報告を行っている。
EVERYDAY DEMOCRACY!
[DemosTV]
実は、こういったブレア政権の「ニュー・ブリテン」に関心を抱いたのは政治学系の本を読んだからではない。あの雑誌『ブルータス』(1998年5/15号)でトニー・ブレア労働党政権による「新しいイギリス」の特集があったからだ。金融街シティの動向からデミアン・ハーストに代表されるアート、サッカーのマイケル・オーウェン、ピーター・マンデルソンと『Gay London』、ゴードン・ブラウン蔵相(当時)が顧客のテイラーまで、とても充実した内容で読み応えがあった。
↓ には若き英国の頭脳、マーク・レナードが載っている。さすが『BRUTUS』だ、眼が高い(イケメンだし、笑)。
ただ、現在のレナードは年相応かな。
[Mark Leonard's website]
[European Council on Foreign Relations (ECFR) ]
Foreign Policy Centre にはレナードが執筆した記事がまとまっている。
また彼は若手のメンバーからなるフェビアン協会にも所属している。
[Young Fabians]
[Fabian Society]
[関連記事]
- 若者候補に関してフェビアン協会に聞く [小林恭子の英国メディア・ウオッチ]
Why Europe Will Run the 21st Century
- 作者: Mark Leonard
- 出版社/メーカー: PublicAffairs
- 発売日: 2006/08/08
- メディア: ペーパーバック
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欧州連合は、民主主義を再創造するための、ひとつの実験室である。EUがさし迫った問題を討議し解決するための「公共空間」をつくりあげるためには、まだやるべきことが残されている。政治的多数派が形成されたり、欧州レベルでの問題の解決策が、EU市民に活気を与えるような「公共空間」になっていないのだ。
しかし、現在のヨーロッパのシステムに改善よ余地があるにしても、EUが、世界中で最もエキサイティングな民主主義の実験であることに変わりはない。
マーク・レナード『アンチ・ネオコンの論理』(山本元 訳、春秋社) p.128
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