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アンデルジェフスキーの弾き振りモーツァルト




モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番&第20番

モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番&第20番


曲はW.A.モーツァルトのピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466 と第17番ト長調 K.453 。ピョートル・アンデルジェフスキー(Piotr Anderszewski、1969年生まれ)のピアノ独奏&指揮、スコットランド室内管弦楽団による演奏だ。

ふと思ったのだが、もしかしてモーツァルトのCDを取り上げるのって初めてのような気がする。「ホームページ」時代も含めて、だ。なんとなく、このオーストリアの作曲家は性に合わないところがあって──やっぱり嘘でもいいから「シリアスさ」が欲しいというか──嫌いじゃないけど、あえて取り上げる気にならなかった。
でも好きなピアニスト、アンデルジェフスキーの「弾き振り」なので、そして何と言ってもモーツァルト・イヤーという「お祭り騒ぎ」も終わったこの時期だからこそ、少しは「シリアス」な気分で音楽に集中できるだろう、と思って。

一応、20番ニ短調は、モーツァルト作品中「シリアス」な部類に入るだろう。数少ない短調だし。ところがアンデルジェフスキーのピアノは、クリアーで溌剌としている。指捌きが小気味良い。オケも古楽奏法を取り入れているのか、重くはない。スタイリッシュ?と言っても良いのかもしれない。ピアニスティックな効果もきちんと押さえている。
カデンツァは第1楽章がベートーヴェンのもの。僕が他に持っているCD──内田光子&ジャフリー・テイト盤、クリフォード・カーゾンベンジャミン・ブリテン盤の二枚しかない、これでは聴き比べはできないな──と同じなので、ここで意表を付かれることはなかった。アンデルジェフスキーにしては肩透かし? 第3楽章がアンデルジェフスキー独自のカデンツァなのだが、短いし、それほど違和感は感じなかった。遊びが足りない?──意外に「シリアス」路線なのかもしれない。
第17番は、タララッタッタッタッターという能天気な主題に最初「ウッ」ときたのだが(笑)、アンデルジェフスキーのちょっと硬質なタッチとテンポの良さで、エンジョイできた。
そう、エンジョイした。好きでも嫌いでもないモーツァルトというのは、子供の頃、「好きか」「嫌いか」という個人的な意味を持つ前に、ピアノのレッスン用のソナチナ/ソナタを「暗譜」したそれだ。しかもそれは「モーツァルト」でさえなかった。クレメンティやクーラウやベートーヴェンも入っていた雑多な「ソナチネ・アルバム」とツェルニー○○番に「対応した」ピアノソナタ、という括りだけのものだ。
モーツァルトの音楽として、シリアスに聴いてみること。これが実に楽しかった。




[Piotr Anderszewski Official Website]