HODGE'S PARROT

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アダム・ハラシェヴィッチのショパン、ノクターンと前奏曲



1955年のショパン・コンクール優勝者、アダム・ハラシェヴィッチ(Adam Harasiewicz、1932年生まれ)によるショパンノクターン全曲と前奏曲集を聴いた。

ショパン:夜想曲・前奏曲集(2枚組)

ショパン:夜想曲・前奏曲集(2枚組)


実はハラシェヴィッチの演奏を聴くのは初めて。しかしその名前はよく耳にしていた。そう、あのウラディーミル・アシュケナージが第2位に甘んじたショパン・コンクールにおいて第1位だった、ということにおいて。つまり……どうしてアシュケナージが第1位じゃなかったんだ! という意味において。
というのも、ハラシェヴィッチと言ってもCDは見かけなかったし、その活躍もぜんぜん伝わってこなかったからだ。過去の人? というにしても過去にどれだけ人気があったのかさえ聞いたことがなかった。

しかし今回、このCDを聴いて、さすがショパン・コンクールの覇者であることに納得した(録音は1960年代前半)。とても気に入った。安定感のある技巧と、ロマンティックな情感を十分に感じさせる素晴らしいものだった。有名なノクターンの第2番は遅めのテンポでじっくりと聴かせるし、第15番や16番でも叙情的な歌が心地よかった。19番、20番、21番の遺作も詩情豊かだ。

そして前奏曲集。硬軟交えた多彩なタッチを駆使しながら、全24曲(+2曲)を弾ききっていく。もちろん僕の目当ては第24番ニ短調なのだが、これには痺れた。なんと言っても左手。低音の打撃が、実にアグレッシブだ。覇気がある。テンポも速い。カッコよかった。