ここのところ、まるでコンクールの審査員のように、かなり集中してピアノの音に耳を傾けていたので(ときに楽譜やスコアを見ながら)、さすがに疲れた。
もう少しリラックスして音楽を聴きたいな、とアントン・ブルックナーの交響曲第3番ニ短調 WBA103のCDを取り出した。(ASIN:B000I2K7GM)
演奏は、デニス・ラッセル・デイヴィス指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団。1889年第3稿のノヴァーク版使用。
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疲れているときにブルックナー? と言われそうだけど、でもデニス・ラッセル・デイヴィス/Dennis Russell Davies のブルックナーは心地よい。清々しいと言ってもよい。ブラスはそれほど咆哮しないし、弦はしなやかに美しく響く。クリアーなサウンドだけど、ドホナーニ&クリーヴランド管弦楽団の刺激的な音ともちょっと違う。
端的に、気持ちよい──そんな感じなのだ。
デイヴィスはフィリップ・グラスやジョン・ケージ、アルヴォ・ペルトなどの現代音楽の演奏で知られている。といっても、ピエール・ブーレーズあたりのアヴァンギャルドではなく、とくにフィリップ・グラス作品の演奏で著名、しかも作曲者の信頼も篤い、というのが重要だろう。
- アーティスト: Philip Glass,Dennis Russell Davies,Bruckner Orchester Linz
- 出版社/メーカー: Orange Mountain Music
- 発売日: 2006/05/09
- メディア: CD
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このアメリカの指揮者によるブルックナーは決して威圧的に迫るものではない。ふっと耳に入ってくるような、押し付けがましさがない、あえて言えばミニマル音楽のようなノリ。重厚で保守的なブルックナーのイメージを一新させてくれる。モダンでスマート……そう、なんとなく「新しく」て格好いいのだ。だからリラックスして聴くことができる。