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「美しい音」 クリスチャン・フェラスのブラームス




ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

先日、出勤前の慌しい時間につけていた朝のTVニュース番組のCMで、ベートーヴェン交響曲第7番が流れた。フジテレビだったので『のだめカンタービレ』関連か、と画面を見たら、ユニバーサルクラシックの「ドイツ・グラモフォン・ザ・ベスト1000」のコマーシャルだった。
クラシック音楽ソフトのテレビ広告がオンエアーされるなんて──さすがDG、さすが「のだめ効果」……そして「対象者」は朝のニュースを見ているビジネスパーソン向けか?
……なんて思いながら、帰宅後、ドイツ・グラモフォンのウェブサイトでラインナップをチェックした。


本格的だなあ。カルロ・マリア・ジュリーニウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナーの後期交響曲(8番は今回はないけど)は至高の録音だし、ジュゼッペ・シノーポリマーラーが三つも、レナード・バーンスタインシューマン交響曲もある。レヴァインシカゴ交響楽団ホルスト『惑星』はこの曲のファーストチョイスと言えるものだ。それに嬉しいのが、タマーシュ・ヴァーシャーリがここのところ復活の兆しを見せているところ──このピアニストは、いい。シュロモ・ミンツのフランク、ラヴェルドビュッシーのヴァイオリンソナタもあるじゃないか(ピアノはブロンフマン)。

でもみんな持っているんだよね──カラヤンアルゲリッチパールマンアバドは言うに及ばす。

クリスチャン・フェラスとカラヤンベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ブラームスのヴァイオリン協奏曲(カップリングはピエール・バルビゼのピアノによるヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》は持っていなかったので、これを買った。フェラスのヴァイオリンを聴くのは初めて、だと思う。
美音。そう、衝撃的なまでに美音だった、フェラスのヴァイオリンは。
僕のヴァイオリンの好みは……ギドン・クレーメルや最近の──とは限らないけど──「若手」のテクニックは素晴らしいけど、どこか「賢しさ」が拭いきれないという印象があって、今でもアルテュールグリュミオーが一番好きだ(ここ、「のだめ」高橋紀之くんのキャラの口調で、笑)。パールマンもミンツもムターも好きだ。

ここにクリスチャン・フェラス(Christian Ferras)も加わった。ブラームスの協奏曲における、ヨアヒムではなくてクライスラーカデンツァ採用も、フェラスの美しい音(beautiful music)の奔流をいっそう印象つけている。バルビゼとの《雨の歌》も、繊細で、甘美で、叙情的で、その音色の美しさに耳を奪われる。


"シューマン : ヴァイオリン・ソナタ 第1番,第2番&3つのロマンス"

Introuvables De Christian Ferras

Introuvables De Christian Ferras

Beethoven: Violin Concerto

Beethoven: Violin Concerto



ウィキペディアにはクリスチャン・フェラスについて、「フェラスの演奏は、フランコ・ベルギー楽派の流れを汲んで、音色の艶やかさと、歌うような調子が特徴的である。兄弟子のメニューイングリュミオーの演奏と比べて明らかなように、芯の通った太さに欠けるきらいがあるものの、洗練されたデリケートな音色においては他の追随を許さない」と「批評」されており、さらに、

1975年には、その功績によってパリ音楽院より表彰されたが、健康の不調を理由に、公的な活動からは退くようになる(フェラスの病的な飲酒癖はつとに知られており、周囲からは、演奏活動の極度のストレスから来るものとみなされていた)。しかし、1982年には、まず3月9日にアラン・ルフェーヴルのピアノで、ついで5月6日にバルビゼのピアノによって、パリ楽壇に復帰し、8月25日にヴィシーでも演奏会を行なった。しかしこれがフェラスの最後の公演となる。それから三週間後の9月14日に自ら命を絶った。




クリスチャン・フェラス [ウィキペディア]

という「事実」が掲載されている。