サイモン・ラトル指揮バーミンガム市交響楽団による、パーシー・グレインジャーの管弦楽曲集を聴いた。
- アーティスト: Grainger,Rattle,City of Birmingham Orch
- 出版社/メーカー: Angel Records
- 発売日: 1997/08/19
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
パーシー・グレインジャー(Percy Grainger、1882-1961)は、オーストラリア生まれ。13歳で渡欧し、独フランクフルトでピアノと作曲を学び、イギリス、そしてアメリカへと移住する。ピアニストとして活躍し*1、作曲家エドヴァルド・グリーグに絶賛された。
このCDには以下の曲が収録されている。
- 組曲≪早わかり(要約すれば)/In a nutshell≫
- 到着ホームでうたう鼻歌
- 陽気な、しかし物足りなそうな
- 田園詩
- 「ガムサッカーズ」マーチ
- トレイン・ミュージック
- カントリー・ガーデンズ(イングランドのモリス・ダンスの調べ)(1950、レオポルド・ストコフスキー版)
- 鐘の谷〜ラヴェル作曲≪鏡≫より
- 組曲≪リンカーンシャーの花束≫
- パゴダ〜ドビュッシー作曲≪版画≫
- 戦士たち(想像上のバレエ音楽)
ウィットに富んだタイトル。色彩的なオーケストラレーションが眩く、野性的なリズムに心躍る。グレインジャーはその音楽の随所に様々な創意工夫と実験を試みた──彼は「オーストラリアのアイヴズ」と呼ばれた。しかし、なんといっても、ノスタルジックで夢みるような束の間の甘さが心地良い。要するに(In a nutshell)、グレインジャーの音楽は、「高貴なる野蛮」(Noble Savage)で、「陽気であるが、どこか哀愁を帯びた」(Gay but Wistful)感じなのだ。
- アーティスト: Percy Grainger,Martin Jones,Philip Martin,Richard McMahon
- 出版社/メーカー: Nimbus Records
- 発売日: 1994/05/02
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
……パーシー・グレインジャーという極めて風変わりな青年が登場した。とてつもない長身でもじゃもじゃと長い髪をたらした、今でいうとヒッピー風の熱狂的菜食主義者で、演奏旅行をするのもナップザック姿という調子であった。
しかし彼は、二十世紀を代表するヴルチュオーゾの一人であったことは誰しも認める事実である。彼はかのフェルッチョ・ブゾーニの弟子であり、北欧のピアノの詩人グリーグが最も信頼した友人であり、ドビュッシーやアルベニスなどの近代ピアノ作品のすぐれた奏者であると同時に、自身も作曲家であった。
中村紘子『ピアニストという蛮族がいる』(文藝春秋) p.216
晩年のグレインジャーは新しい音楽の探求に向う。「鳥の飛翔のような旋律、大洋の波のようなリズム、夕空のような和声」を実現するため、伝統的な音階・拍子・和声から解放された「自在音楽(フリー・ミュージック)」を構想し、それを奏でる独自の自動演奏機械の開発に没頭する。
- 作者: John Bird
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand
- 発売日: 1999/04/29
- メディア: ハードカバー
- この商品を含むブログ (1件) を見る
[Percy Grainger]
*1:マーガレット・ミラーも『眼の壁』でグレインジャーに言及している。