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仏大統領選 グリュックスマンが右、BHLが左



仏大統領選、サパテロ首相とヴォーヴェライト市長も応援に」の結果は、周知のように、右派の国民運動連合(UMP)党首ニコラ・サルコジ候補が31%強、左派の社会党(PS)セゴレーヌ・ロワイヤル候補25%強の投票率を獲得、この二人が5月6日の決選投票に望むことになった。

election presidentielle française



仏大統領選 サルコジVS.ロワイヤル 中道票獲得がカギ [Yahoo!ニュース/産経新聞]

世代交代に加え、グローバル化や拡大欧州の中でのフランスの未来への関心などから、投票率は83・78%(有権者数約4450万人)と、第5共和制初の直接選挙となった1965年大統領選の過去最高記録84・75%に迫る高さだった。


 サルコジ氏は22日夜、「フランスの新しい夢の周囲に国民を結集させたい」と述べ、「最も弱い者を恐怖から守りたい」と弱者救済を宣言。23日はベイユ元厚生相を伴って家庭内暴力の被害女性の保護施設を訪れ「実行の人」をアピールした。


 ロワイヤル氏も22日、「フランスを改革できると考える者」の「結集」を呼びかけ、23日夜は南部で大集会を開き対戦の火蓋を切った。


 前回2002年大統領選の第1回投票では、社会党のジョスパン首相が高失業率や治安悪化など失政の責任を問われて敗退、極右政党、国民戦線のルペン党首が決選投票に躍り出る事態となり、同投票で極左から右派までが反ルペンで結束した結果、右派のシラク大統領が勝った経緯がある。


 今回、サルコジ氏は終盤で、「移民・国民アイデンティティー省」創設の公約など移民、治安問題を前面に押し出し、前回の極右票の4分の1を奪取したとみられ、ルペン氏は10・44%と、74年の初出馬の際を除けば最低の得票率に終わった。


 ただ、今回、こうした極右を含む右派全体の得票率は45%に達したのに対し、決選投票ではロワイヤル氏支持を表明している極左共産党緑の党などと同氏の分を足し合わせても、左派の得票率は36%止まりである。


 そこで、注目されるのが、前回の約3倍の18・57%へと大きく躍進したバイル氏の中道票だ。


 UDFは総選挙などでUMPと共同戦線を張るもともと中道右派の政党で、決選投票では左右両候補に五分五分の流れ方をすると見られる一方、最近、UDFが左派寄りになっているとの見方もあって予断は許さない。


上記の記事は産経新聞社のパリ支局長、山口昌子氏のものだが、その山口氏の別の記事に、とても興味を惹くものがあった。
やはりフランス大統領選挙関連で、アンドレ・グリュックスマン(André Glucksmann)が『ル・モンド』紙に「なぜ、ニコラ・サルコジを選んだか」を寄稿しサルコジ候補支持を表明、一方、ベルナール・アンリ・レビ(BHL、Bernard-Henri Lévy)がロワイヤル候補と夕食をともにした、という、かつての「新哲学派」(ヌーヴォー・フィロゾフ)たちの「転向」とも言える「ねじれ現象」についてだ。


【緯度経度】左翼知識人の右傾化 山口昌子 [イザ!]

 寄稿は、『フランスが寒気の時、私も行動を起こそう』と、アルジェリア戦争が泥沼化した1958年に政権に復帰したドゴール将軍の言葉を引用してフランスが現在、「寒気」に見舞われているとし、一種の救世主の必要性を暗に示唆した。


 さらに、保守中道の与党、国民運動連合(UMP)にともに所属するドビルパン首相とサルコジ氏の確執により、「フランスと世界に関する2つのビジョンの対峙(たいじ)が明瞭になった。サルコジはもったいぶったコンセプトの背後に空虚さを隠している従来の右派とは明確に断絶した」と、サルコジ氏が旧来の保守とは異なった新しいコンセプトを提示している点を指摘。


 「ニコラ・サルコジのみが今日、(寛容の)心あるフランスの航跡の中で行動する唯一の候補者だ」と言明、「私の決断は過去の苦悩と新しい展望により熟慮されたものだ」とサルコジ氏支持の決意の固さを強調した。

左派陣営からは当然ながら、グリュックスマン氏への批判が聞かれる。グリュックスマン氏らを「新反動主義者」と批判する社会学者ダニエル・ランデルベルグ氏らだ。左派系の歴史家、バンジャマン・ストラ氏に至っては、「左派の知識人よ、立て」と左派系知識人に檄を飛ばしている。


 左派系哲学者ながら、保守系週刊誌、ルポワンのコラムを毎週、執筆している哲学者のベルナール・アンリ・レビ氏は「知識人は選挙運動に参加すべきではない」との立場を取りつつもロワイヤル氏と夕食をともにしたことを明らかにするなど、グリュックスマン氏の一種の“カミングアウト”に刺激された格好だ。


さらに大統領候補者自身の言動も注目される。ニコラ・サルコジ候補がジャン・ジョレスという社会主義政治家で「仏社会党の象徴」に言及、一方、セゴレーヌ・ロワイヤル候補がドゴール政権で文化相を務めた保守本流の作家アンドレ・マルローの言葉を引くなど左右の「ねじれ現象」が起こっているという。
ということで、やはり「中道派」バイル票の動向が気になるところだ。



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Let's not kid around. I strongly advise people like me, who were in favour of the yes, not to underestimate the French no. It is the manifestation of a movement that cuts to the heart of Europe. The majority no appears to be a protean, contradictory mobilisation, coagulating disparate fears and frustrations, cheekily pooling the prejudices of the extreme Right and the ultra Left.

もちろん、自分を現代のサルトルとして演出しようというBHLの意図は、見えすいているといえば見えすいている。この時期にサルトル論を刊行し、あらゆるメディアでインタヴューに応じてみせるあたりは、かつての「新哲学派[ヌーヴォ−・フィロゾーフ]」のリーダーらしいメディア戦略と言うべきだろう。だが、そのダイナミックな思考において、また、歯切れのいいスピーディな文体において、BHLは、古き良き人間主義・人権主義に回帰するばかりの同世代の講壇哲学者たちを遥かに凌駕している。

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