18日放映のTV版『のだめカンタービレ』第10話は面白かった! 高橋紀之のキャラが原作通り披露されていたし、何よりも音楽が充実していた。さすがフジテレビだ。
何と言っても野田恵が「マラドーナ・ピアノ・コンクール」で弾く、シューマンのピアノソナタ第2番ト短調 作品22である。シューマン・イヤーの最後の月に、民放でこの曲が流れるなんて!──しかも第1楽章だけではなく、第4楽章も聴くことができた。
このシューマンの2番ソナタが気に入った方は、迷わずマルタ・アルゲリッチの演奏を聴いて欲しい。これ以上ない、と断言してもよい最高のものだ。原作マンガで観客が「鬼速」とため息をもらし、「そのリズムの持つ切迫感に、取り憑かれていくように・・・」と千秋真一が評する演奏が、ここにある。カップリングのフランツ・リストのソナタロ短調も凄いの一言だ。
- アーティスト: アルゲリッチ(マルタ),リスト,シューマン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 1999/12/22
- メディア: CD
- クリック: 56回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
同じく「のだめ」が弾くストラヴィンスキー『〈ペトルーシュカ〉からの3楽章』。難曲《ペトルーシュカ》の演奏中、あの「きょうの料理」のテーマが分厚い和音で挿入されて──「きょうの料理」に切断されて──大いに受けた(笑)。
そのシーンに膝を叩きながら、そういえば浅田彰が『ヘルメスの音楽』の中のポリーニ論「最後のピアニスト──マウリツィオ・ポリーニを聴く」で次のように書いていたことを思い出した。
同じことは、二十世紀の作品集の冒頭を飾るストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」(ピアノ版)についてもあてはまる。ディアギレフのバレー・リュスと共に辺境ロシアから文化の都パリになぐりこみをかけた若き野蛮人(バルバロイ)の作品。それを弾くのに、たとえばベロフなら、ポリーニほどのエネルギーはないにしても、才気あふれたパッセージを奔放に弾き破って、あざやかな切り口を見せてくれる。ポリーニの「ペトルーシュカ」に、そうした切断はない。
(中略)
この曲で派手なミス・タッチを犯したとき、ベロフはいたずらっ子のように肩をすくめてみせた。ポリーニは、そのメカニズムに少しでも狂いが生じたとき、発狂するだろう。
浅田彰『ヘルメスの音楽 (ちくま学芸文庫)』(ちくま学芸文庫) p.97-98
『〈ペトルーシュカ〉からの3楽章』を聴くならば、浅田彰に「空前絶後」と言わしめたポリーニの演奏だな、やはり。ポリーニは、たぶん、「のだめ」と対照的なピアニストだろう。
Stravinsky, Prokofiev, Webern, etc / Maurizio Pollini
- アーティスト: Anton Webern,Igor Stravinsky,Pierre Boulez,Sergey Prokofiev,Maurizio Pollini
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 1996/02/13
- メディア: CD
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ドビュッシーの《喜びの島》は、アシュケナージやポリーニの楽譜に忠実な「破綻のない」演奏も素晴らしいが、ホロヴィッツのピアノは圧倒的な迫力で聴かせる。
- アーティスト: ホロヴィッツ(ウラディミール),ハイドン,シューマン,ショパン,リスト,スクリャービン,ドビュッシー,モーツァルト
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2003/12/17
- メディア: CD
- 購入: 4人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
それと野田恵のライバル?瀬川悠人が弾いたブラームス《パガニーニ主題による変奏曲》作品35-1。僕のこの曲のベストはエフゲニー・キーシンの演奏だ。なんとなく、瀬川君とキーシンって似てないか? ステージママの存在も含めて。
- アーティスト: キーシン(エフゲニー),ベートーヴェン,フランク,ブラームス
- 出版社/メーカー: BMGメディアジャパン
- 発売日: 1998/03/21
- メディア: CD
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
そして最初にも書いたように、「ブッフォン国際ヴァイオリン・コンクール」3位の高橋紀之のキャラは秀逸だった。ミョーに説得力があるのはなぜだろう……うっすらと生えた髭&無駄に鍛えたようなガタイか。
それに加え、高橋がオケ団員──タキシードの男たち──の前で披露するサン=サーンスの《序奏とロンド・カプリチオーソ》作品28に耳を奪われた。この曲、実はかつて僕が得意としていた曲なんだ……今は無理だな、余程さらわないと。
いちおう↓が僕のサン・サーンスの楽譜だ。
《序奏とロンド・カプリチオーソ》の「僕のタイプの」演奏は、ジョシュア・ベルのものだ。峰龍太郎が言う「高橋くんの演奏は清良ほど大きな迫力はないけど、綿密な技術と響きの美しさは、清良より上だ!」は、まるでベルについて語っているようだ(笑)。
また、高橋クン登場で──彼がコンマスになって──したがって三木清良が弾くかもしれないサラサーテの《カルメン幻想曲》も、そしてガーシュインもチャイコフスキーもフランクもフォーレも……ジョシュア・ベルの演奏で。
- アーティスト: ベル(ジョシュア),ガーシュウィン,ウィリアムズ(ジョン),ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2004/11/17
- メディア: CD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- アーティスト: ベル(ジョシュア),チャイコフスキー,トーマス(マイケル・ティルソン),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2005/06/01
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
- アーティスト: ベル(ジョシュア),フォーレ,ドビュッシー,フランク,ティボーデ(ジャン=イヴ)
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1996/06/01
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ついでに高橋くんの「エクスタシーに身を委ねる美しい指揮者……」云々の場面で流れるロドリーゴの《アランフェス協奏曲》も久しぶりに聴いた。ジョン・ウィリアムスのギター、ルイ・フレモー指揮&フィルハーモニア管弦楽団の演奏で。
- アーティスト: ウィリアムス(ジョン),ロドリーゴ,ヴィラ=ロボス,フレモー(ルイ),バレンボイム(ダニエル),フィルハーモニア管弦楽団,イギリス室内管弦楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
来週はいよいよ最終回か……。
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/03/12
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (212件) を見る
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/06/11
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 22回
- この商品を含むブログ (249件) を見る