2006年はロベルト・シューマンの没後150年のメモリアル・イヤー。「盛大な」モーツァルト生誕250年記念イベントの数々に負けじと、このブログでは、「我らが」シューマン・イヤーを喧伝していくことを誓った。
ところで、今年ももうすぐ終わりなのだが、2005年は、エルネスト・ショーソン(Ernest Chausson, 1855-1899)の生誕150年なのだった。
僕は「シューマニアーナ」であると同時に、「フランキスト」(セザール・フランク党)でもあるので、フランクの作曲技法──とくに循環形式──や和声、神秘主義的傾向に影響を受けた作曲家も大好きなのだ。ショーソンはその「フランク党」の重要人物である。
とくに言わずと知れた傑作、ヴァイオリンのための『詩曲』や、『ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール』、ピアノ三重奏曲などは、憂いを湛えたリリシズムにフランク譲りの官能性が加わり、デリケートな感情表現が展開される。循環形式を取り入れた交響曲も、フランクの有名な二短調作品と同様、重厚で堅牢な形式感と、それと対峙するかのような神秘性と夢幻的な情感を帯びた不思議な魅力に溢れている。
ショーソン / ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール ニ長調 作品21
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そんな「フランキスト」ショーソンが、シューマンに触れている文章を見つけた。相場ひろ「海外盤試聴記 特捜プロジェクト」(『レコード芸術』2005年6月号)においてである。
この相場ひろ氏のテクストは、生誕150年にあたるエルネスト・ショーソンについて紹介しているもの。ショーソンは1879年にド・レイサック夫人に宛てた手紙に以下のように記した。
シューマンのある恐ろしい言葉が、私の耳に審判のラッパのように響いて止みません。それは、『形式を完璧に統御できて初めて、思いを統御できるようになる』というものです。私はこうした考えの正しさを、日に日に強く感じ、ひとときも休まることがありません。そこまでは到達できないのではないか、できたとしても遅すぎるのではないか? そんな予感のせいか、私は何日も、自分によく分からない衝動にかられることがあります。
うーん、シューマンの「言葉」がこれほど──まるで「審判のラッパ」のように──ショーソンを呪縛していたのか。
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