マイクロソフト社は、ゲイ・フレンドリーな企業として知られていた。同社は、従業員の同性のパートナーへの手当て(domestic partner benefits)を実施した最初の大会社のひとつであり、性的指向による差別禁止を掲げた社内規定もある。
しかし今回マイクロソフト社は、ワシントン州の同性愛差別禁止法案への支持を撤回した。この方針転換の背景には、宗教保守派による圧力があったのではないか、と考えられている。
現在、MS社には、世界中のゲイ/レズビアン団体から批判が集中し、ボイコット運動にまで発展している。
Microsoft Draws Fire for Shift on Gay Rights Bill [Washington Post]
さらにCNETによると、今回の事態に一躍買った「組織」と、MS社との関係が問題視されている。その組織とはキリスト教徒連合(Christian Coalition:CC)の元事務局長、Ralph Reed 率いるロビー会社。マイクロソフト社は、このRalph Reedのコンサルタント会社を利用している。
MSに同性愛者団体からの非難集中--あるロビイストとの関係をめぐり [CNET Japan]
MicrosoftがロビイストとしてReedを初めて雇ったのは1998年のことだ。当時は、同社に対する反トラスト訴訟がさかんに行われていた。2000年にReedの会社が複数の有力共和党員に、同社に代わって次期大統領候補のGeorge Bushに接触するよう要請する書簡を送付した。しかし、New York Timesの記事でその戦術が明るみに出たため、Reedは作戦を中止し、利害の対立を生んだことに対し謝罪している。
この問題をめぐりマイクロソフト社は、Ralph Reedのコンサルタント会社を利用しているのは事実だが、それと今回のワシントン州法問題とは無関係であると発表している。
また、スティーブ・バルマーCEOは、自分とビル・ゲイツ会長はそれぞれ個人的にはワシントンの反差別法案を支持しているが、「社内で意見が分かれそうな社会政策問題を回避するための決定の一環だった」と社内メールで見解を示した。
Microsoft C.E.O. Explains Reversal on Gay Rights Bill [NY Times]
"We are thinking hard about what is the right balance to strike -- when should a public company take a position on a broader social issue, and when should it not?" Ballmer said in the e-mail. "I don't want the company to be in the position of appearing to dismiss the deeply-held beliefs of any employee by picking sides on social policy issues."
このマイクロソフトの「同性愛問題」を精力的に追っているのは、「AMERICAblog」というブログだ。
最新の記事では、MS社の地元であるシアトルの新聞社がマイクロソフトと Ralph Reed の関係を「強く擁護」していると指摘。そして重要な問題は、 Ralph Reed のホワイトハウスにおけるロビー活動と共和党右派政治家との「コネクション」だとしている。