イスラエルのヴァイオリニスト、ギル・シャハム(Gil Shaham、b.1971)によるヘンリク・ヴィエニャフスキ(Henryk Wieniawski、1835 - 1880)のヴァイオリン協奏曲をメインにしたCD。共演はローレンス・フォスター/Lawrence Foster 指揮、ロンドン交響楽団/London Symphony Orchestra 。
Wieniawski: Violin Concertos Nos. 1 & 2
- アーティスト: London Symphony Orchestra,Henryk Wieniawski,Pablo Sarasate,Lawrence Foster
- 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
- 発売日: 1992/08/11
- メディア: CD
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ヘンリク・ヴィエニャフスキ
- ヴァイオリン協奏曲第1番 嬰ヘ短調 Violin Concerto No.1 in F sharp minor, Op.14
- ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ短調 Violin Concerto No.2 in D minor minor, Op.22
- 伝説曲 ト短調 Legende in G minor, op.17
パブロ・サラサーテ/ Pablo de Sarasate
- ツィゴイネルワイゼン Zigeunerweisen, Op.20
解説に記してあるように、ヴィエニャフスキは「ヴァイオリンのショパン」と呼ばれることがある。同じポーランド出身ということもあるが、第1ヴァイオリン協奏曲を聴くと、なるほどショパンのピアノ協奏曲のような感じの作品だな、と思う。哀愁を帯びた比較的長めのオーケストラによる序奏の後、ソロのヴァイオリンが華々しく登場し、そして感傷的なメロディを連綿と歌い上げる。技巧的なパッセージも駆使されるが、パガニーニほど「あからさま」には聴こえない。
第2番となると、濃厚なロマンとドラマティックな展開が素晴らしく、至難な技巧も曲調にマッチし、情感を高め、感動を導く。ロマン派ヴァイオリン協奏曲の傑作の一つであろう。
何よりもシャハムのヴァイオリンの音色が美しい*1。技術的な難が一切ないのは当然として(音程が非常にしっかりしている)、緩徐楽章での歌も魅力的だ。《ツィゴイネルワイゼン》のような耳にタコが出来るほど聴きなれた──通俗的な──作品でさえも、溌剌とした技巧と現代的なセンスで(再び)耳を楽しませてくれる。
ヴィエニャフスキ嫌いな(多分サラサーテも)合田雄一郎にも聴かせたくなるフレッシュな演奏だ。
*1:彼の楽器はストラディヴァリウス”Comtesse de Polignac”1699年製