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アンドレアス・ボイドによるブラームスのピアノ作品全集1




ブラームス: ピアノ作品集第1集~ピアノ・ソナタ第1番、第2番、他

ブラームス: ピアノ作品集第1集~ピアノ・ソナタ第1番、第2番、他


「The Complete Works for Solo Piano vol.1」と明記されている。Oehms Classics レーベルのヨハネス・ブラームスのソロ・ピアノ作品全集第1弾だ。栄えある演奏者に抜擢されたのは、アンドレアス・ボイド(Andreas Boyde)。ドイツは Oschtz 生まれのピアニストで、年齢は……プロフィールに書いてなかったので不詳。ジャケットから判断するに30代半ばぐらいだろうか。


収録曲は、

という初期作品。作品番号順に攻めていくようだ。

最初のハ長調の分厚く逞しい和音を聴くなり「ブラームスの音」を感じた。枯淡の境地が魅力の後期作品と違って、それほど演奏されない作品であるが、ボイドの明快で力強いタッチによって、作曲当時20歳前後だった青年ブラームスの漲る覇気──何といっても作品番号第1番だ──とナイーブな感性が綯い交ぜになった音楽が聞こえてくる。悲愴味を帯びた第2番は堂々たる構成とドラマティックな展開が、さすがはブラームスだと思わせる。栴檀は双葉よりも芳しい。ロマンティックな叙情も印象的だ。

スケルツォ変ホ短調』はわりと好きな曲で、ショパンの同名作品に似た風情と、ブラームスらしい重低音が豪快に鳴り響くのがたまらない。とくに最後の両手のオクターヴは圧巻だった。実際にこの曲をピアノで弾くと、ほどよいストレス解消になる。

これらブラームスの初期作品って、武骨でちょっとダサいイメージがあったのだけれども、ボイドの演奏はスピーディでスタイリッシュにキメてくれる。クララ・シューマン曰く、あるいは当時の肖像画が物語る「若くて麗しい」ブラームス像を十分にイメージさせてくれる。テクニックが洗練されているのだろう。続編も大いに期待したい。
それとアンドレアス・ボイデのウェブサイトもなかなか洗練されていることを付記しておきたい。


[Andereas Boyde Official Web Site]