亡命先のイギリスで11月23日に死亡したロシア連邦保安局(FSB)の元大佐、アレクサンドル・リトビネンコ氏(Alexander Litvinenko)の身体から大量の放射性物質ポロニウム210を検出されたことを受け、英政府は24日、ジョン・リード内相(John Reid)を中心とする「コブラ委員会」(government's civil contingencies, Cobra)──国家有事に対応する担当閣僚らによる緊急治安会議──を開き、対応を検討した。
コブラは2005年7月のロンドン同時爆破テロの際に開かれた会議である。
Cobra meets over fears about assassination squad [Independent]
John Reid, the Home Secretary, chaired an emergency meeting of Cobra, the Downing Street crisis team, yesterday over fears that the murder of ex-Russian spy Alexander Litvinenko could mean an assassination squad is targeting dissidents in London.
Senior officials from health protection, the Department of Health, the Atomic Weapons Establishment, the Metropolitan Police and the intelligence services were summoned to the Cobra meeting, underlining the seriousness with which the Government viewed the assassination with radioactive material.
英防諜機関も捜査開始 元スパイ毒殺事件 露に情報提供を要請 [Yahoo! ニュース/産経新聞]
25日付の英紙タイムズによると、英国の防諜(ぼうちょう)機関で国内の治安を担当する情報局保安部(MI5)と対外情報部(MI6)も捜査に加わり、英国側の捜査は本格化している。
一方、ロシアのプーチン大統領は24日の記者会見で、リトビネンコの死亡についてロシア当局が暗殺に関与したとの見方を否定。だが、「捜査に協力する用意はある」と表明している。
↓の映像はイギリスのシンクタンク『デモス』(Demos)で発言するリード内相。
YouTube ”John Reid Speech”
Radiation tests after spy death [BBC NEWS]
LITVINENKO TIMELINE
- 1 Nov - Alexander Litvinenko meets two Russian men at a London hotel and then meets Italian academic Mario Scaramella at a sushi bar in Piccadilly. Hours later he falls ill and is admitted to Barnet General Hospital
- 17 Nov - Mr Litvinenko is transferred to UCH
- 19 Nov - Reports say Mr Litvinenko is poisoned with thallium
- 21 Nov - A toxicologist says he may have been poisoned with "radioactive thallium"
- 22 Nov - Mr Litvinenko's condition deteriorates overnight. Thallium and radiation ruled out
- 23 Nov - The ex-spy dies in intensive care
- Timeline: Former Russian spy case [BBC NEWS]
- In full: Litvinenko statement [BBC NEWS]
- Full Coverage: Espionage & Intelligence [Yahoo! News]
- Full Coverage: Russia [Yahoo! News]
Cobra is the dramatic name for the civil contingencies committee which leads responses to national crises.
The group is named after the Cabinet Office Briefing Room A in the bowels of Downing Street where it normally meets.
It has been convened in recent years for the 7 July London bombings, the fuel protests and 11 September attack.
Its members vary according to the issue being dealt with, and can often include Tony Blair, senior ministers and police and intelligence chiefs.
- Cobra team can invoke emergency powers [Telegraph]
The Cobra committee is the United Kingdom's emergency response team for national emergencies.
Despite its sinister sound, the name is simply an -acronym for one of the venues where it meets - Cabinet Office Briefing Room A.
Its precise membership varies according to the nature of the crisis under discussion. But it will include the Prime Minister, if he or she is available, senior ministers, the head of MI5, the police, members of the civil contingencies secretariat and civil servants heading the departments affected.
YouTube ”Alexander Litvinenko at Frontline”
[Frontline Championing independent journalism]
露毒殺疑惑:元保安庁員死亡 尿から放射性物質 [MSN/毎日新聞]
一方、リトビネンコ氏が病床で残したプーチン批判の声明が24日、同氏の友人によって公開された。この中で同氏はプーチン大統領を「野蛮で冷酷」と非難。「あなたは私を黙らせることに成功したかもしれないが、それは代償を伴う。ミスター・プーチン、世界中の抗議の叫び声が、あなたの耳の中で生涯響き渡るだろう」と語った。
英各紙は「プーチンはロシアを専制政治に逆戻りさせた」(デーリー・テレグラフ紙)と批判、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の手口に似ているとして、ロシア当局が関与した「毒殺」の疑いが強いとみている。
英国には富豪べレゾフスキー氏やチェチェン独立派の穏健グループ指導者ザカエフ氏ら、ロシアの反体制派が多く亡命している。ロシアは彼らの身柄引き渡しを求めてきたが、英政府は一貫して拒否。反体制派の身柄をめぐって両国関係が緊張する中で今回の「毒殺」疑惑が起きた。
ブレア政権は捜査を見守る構えだが、プーチン政権下で民主主義が後退しているとの懸念は欧州各国に根強い。「毒殺」疑惑は、欧州側のこうした対露不信を、一層増幅させる可能性がある。
露元中佐変死:深まる謎 英メディアもさまざまな憶測 [MSN/毎日新聞]
今のところ、プーチン露大統領の指示・承認の上で実行された「国家テロ」との見方は証明されていない。欧州連合(EU)・ロシア首脳会議(24日)に合わせた殺害は政治的なリスクが大きい。英捜査当局も「プーチン直接関与」の可能性は薄いと見ている模様だ。
代わって25日付英各紙が伝えているのが▽FSBのかつての同志による「裏切り者」リトビネンコ氏への復しゅう説▽チェチェン共和国の親ロシア政権による暗殺説▽ロンドン在住の反プーチン派富豪べレゾフスキー氏の周辺による殺害説−−などだ。
先月のアンナ・ポリトコフスカヤ記者殺害事件では、チェチェン共和国の親ロシア政権の関与も疑われている。リトビネンコ氏は同事件の真相に迫る資料を持っていたとされ、ロンドン在住のチェチェン独立派穏健指導者ザカエフ氏とも親しい間柄だった。25日付フィナンシャル・タイムズ紙は「二つの事件はつながっている」とのプーチン側近の言葉を報じた。
一方、プーチン氏追い落としを画策しているとされるべレゾフスキー氏の周辺が、プーチン政権の仕業と見せかけてリトビネンコ氏を殺害した可能性もある、との見方も伝えられている。リトビネンコ氏自身が自分で放射性物質を摂取し、プーチン政権のイメージ悪化を狙った可能性も完全には排除できないという。
露元中佐変死:ユコス元幹部が英警察に情報提供へ [MSN/毎日新聞]
イスラエルのテレビ、チャンネル1によると、ロシアの石油大手ユコス(破産)の元幹部でイスラエル在住のレオニード・ネブズリン氏は、ロシア情報機関の連邦保安庁(FSB)元幹部リトビネンコ氏がロンドンで死亡し、尿から放射性物質が検出された事件を受け、これまで同氏から得た情報を英警察に提供することを決めた。
ネブズリン氏の関係者によると、リトビネンコ氏はイスラエルでネブズリン氏に会い、ユコスが脱税で摘発され破たんした事件に対するFSBやプーチン大統領の関与について情報提供しており、これらを英警察に伝えるという。ユコス事件は、同社のホドルコフスキー元社長がプーチン政権と対立したことを背景とした政治的弾圧と受け止められている。
新協力協定交渉、開始で合意できず=EU・ロシア首脳会議 [Yahoo! ニュース/時事通信]
欧州連合(EU)とロシアは24日、ヘルシンキで首脳会議を開き、来年失効する「パートナーシップ・協力協定」に代わる包括的な新協定締結問題などを協議したが、ポーランドがロシアによる食肉禁輸に反発して拒否権を行使し、新協定締結に向けた交渉開始で合意に至らなかった。
EUとロシア、首脳会議・エネルギー新協定を見送り [NIKKEI NET]
エネルギーを武器に強硬な姿勢を取るロシアに対し、人権問題などを訴えるEUの議論はかみ合わず、両地域の関係が悪化する懸念が出てきた。