ナクソスからジョルジュ・エネスコ(George Enescu, 1881-1955)の『エディプ(オイディプス王)』Op.23 が出た。言うまでもなく、ソフォクレスのかの有名なギリシア悲劇『オイディプス王』をオペラ化したものだ。1936年3月13日、パリ・オペラ座で初演された。
演奏は、現代音楽を大得意としているミヒャエル・ギーレンが指揮で、オケがウィーン国立歌劇場管弦楽団という文句なしの組み合わせ。さっそく……じゃない、買ったのは一ヶ月くらい前、やっと今日、全曲を通しで聴いた。
- アーティスト: Monte Pederson,Yu Chen,Davide Damiani,George Enescu,Michael Gielen,Marjana Lipovšek,Ruxandra Donose,Vienna State Opera Orchestra,Austrian Federal Theatres Stage Orchestra,Mihaela Ungureanu,Josef Hopferweiser,Michael Roider,Vienna State Opera Chorus,Vienna Boys' Choir
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2006/01/17
- メディア: CD
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僕は「歌」よりも「音」に関心があるので、このエネスコのオペラで印象に残ったのは、なんといっても第2幕第3場の「夜明けから夜明けへ」。ここはスフィンクスが登場するシーンで、神秘的で妖しく、そして耽美的なサウンドになっている。
主役のエディプがバス・バリトンで、クレオンとテセウスがバリトン、ティレシアスと神官、ポリュボス王、見張人がバリトン、羊飼いとライオス王がテノールという男声優位──しかも低音優位の中で、イオカステ王妃とスフィンクスのメゾ・ソプラノは目立つ(他の女声の登場人物では、アンティゴネーがソプラノ、メロペ王妃がメゾ・ソプラノ)。
しかも、イオカステ王妃とスフィンスクは、マリアーナ・リポヴシェクが一人二役で歌うという意味ありげな配役になっている。ただし「意味ありげ」をいちいち分析するのは kill Joy なのでヤめよう。
[Wiener Staatsoper]