「言語にとって歴史研究は意味がない」 by ノーム・チョムスキー
- 作者: ジョン・C.マーハ,ジュディグローヴス
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2004/02/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (8件) を見る
もっとも、生成文法や言語学には深入りするつもりはないので、参考にしたいのは社会批評家としての「ノーム・チョムスキー氏」のほう。
チョムスキーは指摘する。アメリカには「政治委員」と呼ばれる「国家権力とその行使に忠誠を誓い社会管理に参加する知識人たち」が存在し、彼ら(メディア、学者、文官)は自らの権力と思想統制を維持しようとする。
政治委員たちの策略は、チョムスキーのような「専門外=素人」の政治分析の<能力>を攻撃することにある。
例えば政治委員たちは、
「お話はごもっともですが、たしかあなたは、言語学者であって、訓練を受けた政治経済学者ではありませんよね」
と、「専門ゲーム」を仕掛け、チョムスキーらの「語る権利」を奪おうとする。これに対しチョムスキーは以下のようにやり返す。
これはとても面白い言いがかりだね。正義と真実について語るためには、カーストの中で聖職者に任命されなければならないとでもいうかね。テストに合格すれば、社会批評家になれるというわけだね。
チョムスキーは自由至上主義思想の伝統を受け継いでいる──例えば、フンボルト、ジョン・デューイ。また、自由至上主義的価値観は、ルソーらの啓蒙思想家たちの精神とも通低する。
そしてチョムスキーが最も強い影響を受けていると思われるのが、哲学者で、且つ、自由主義活動家でもあったバートランド・ラッセル。チョムスキーは、ラッセルの言葉を自分の研究室に掲げているそうだ。