HODGE'S PARROT

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「ブッカケ」と「やおい」

Wired New (日本版、米版)を読んでいたら、「ブッカケ」が英語でも「bukkake」で通用することになっているようだ。

アニメからアダルトまで、日本の大衆文化を世界に発信する『Jリスト』 [Wired News 日本版]
Fix for Japan Pop-Culture Addicts [Wired News]


「ブッカケ」

ぶっかけとはアダルト用語の一つで、主にAV女優顔面に多人数の素人男優などがオナニーで、また一部性交で射精すること。性交で射精するのはプロ男優が多い。最近ではこの時の精液を飲む女優も多い。


ウィキペディア(Wikipedia)日本版より

「Bukkake」

Bukkake (ぶっかけ/Japanese) is a group sex practice wherein a series of men takes turns ejaculating on a kneeling woman or man. There are strong overtones of erotic humiliation in this practice. When the term bukkake is used in Japan, it usually refers to a method of preparing noodles and not the sexual act.


ウィキペディア(Wikipedia)英語版より

これは、サブ・カルチャー/ポルノのおける「日本特有」が「日本文化」として<表象=代表>されていくプロセスなんだろう。これこそ「文化翻訳」ではないのだろうか──かつて「芸者」がエキゾチックな「geisya」として外国語になったことを思わせる。そしてこれはポルノとしての「やおい」が「yaoi」として外国語としても「通用/流用」されることと同じ「意味を持つ」。

そのうち「ブッカケ論」も生まれるかもしれない。そこに何かしらの「文化的な意味合い」を持たせて「やおい論」が書かれるように。
(いや、「ブッカケ論」のようなものはもうすでに書かれているだろう。偉そうな<論>という形式ではなくても。重要なのは<誰>がその<主体>になるかだ、そしてそこに「抑圧/差別の言説」を──「やおい論」が犯しているように──生み出すか、そうでないかだ)

ちなみに「Bukkake」を Google で検索すると、2,760,000件の結果が出る。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=Bukkake&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
さらにスポンサー広告には、「アメリカン・ブッカケ(American Bukkake)」というアダルト・ビデオのシリーズや「SpermGirl's Movies(精子少女)facial bukkake」というものもあるようだ。これこそポストコロニアル理論でいう「異種混合/雑種性(ハイブリッド)」なのではないか。

ポルノに対するフェミニズムクィア理論の二律背反的な姿勢は、サイバー・ポルノの段階になって、さらに複雑化した。このようなグローバル化は「手段」においては支配システムのフィルターを通していなくても、「価値」においてはその偏向をなおも接続して被っている場合が多い。
(中略)
この問題は、スピヴァクによれば、植民地の女が、ポストコロニズムの分析対象であった「第三世界の女」から、グローバル化の対象かつ媒介者となる「南から来た女」へと変化したことと軌を一にしている。ポストコロニアル研究では、彼女たちは「宗主国のラディカルな理論言説の特権的なフィールド」だったが、グローバル化研究においては、「グローバル化する超国家資本に気に入られる<手段としての行為者>」に変質した。


竹村和子フェミニズム』(岩波書店