凄い動画にぶちあたった。アメリカの作曲家、ジョージ・クラム(George Crumb、b.1929)の《ブラック・エンジェルズ》*1の演奏だ。
George Crumb, BLACK ANGELS - Departure
空間を引き裂くような痛切な音響──まさに電気昆虫(electric insects)の蠢き。クラシックな弦楽四重奏が、ここまで凶暴な音を出せるのか、と思う。凄い、凄すぎる。そこいらへんのハードロックなんて問題にならないくらいハードで迫力がある。
《ブラック・エンジェルズ》は全編に渡って死のイメージに取り憑かれている。非常にペシミスティックである。まるで戦後の西欧の音楽のように、暗い。
クロノス・クァルテットやブロドスキー弦楽四重奏団の録音によって有名になった「暗黒天使たち(ブラック・エンジェルズ)」(1970年)は、幅広い音色の探究に対するクラムの興味を実証する作品の一つである。電気変調をともなう弦楽四重奏曲として作曲されているだけでなく、演奏者は様々な打楽器も演奏したり、グラスを弓でこすったりと、伝統的・非伝統的であるとを問わず、様々な方法で演奏することが要求されている。さらには、世界各国の言語で(キリスト教で不吉な象徴である)数字の13を数えることも要求されている。作曲年代が、ちょうど米国がベトナム戦争の泥沼に落ち込んでいた時期であったことから、この作品は反戦音楽とも解釈されてきた。
『闇の中で』の中で、プールは次第に空虚になっていく世界の暗闇を車で走っていく。いつまでたってもまた新たな死体が発見され、殺人者は決して見つからないだろう。なぜなら、『闇の中へ』はさまざまなバリエーションで繰り返される同一のテーマであり、同じコードの配列を何度も何度も循環しているのだから。本当の意味での終わりは決してやってこない。『闇の中へ』において、いつかある日、殺人者は蘭栽培のために引退するか煙となってかき消されてしまうだろう。そのときすべての意味は失われる。メロディは意味のないでたらなめ音をぼろぼろと奏で消える。
(中略)
「時々、おれは悪魔と双子の兄弟なんじゃないかって気がするんだ」
ピーター・ストラウブ 『ココ』(山本光伸訳、角川ホラー文庫) p.21-23
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鮮烈な音響という点では《マクロコスモス》も見(聴)逃せのない。
Crumb, Makrokosmos Bk.I, 1-Primeval Sounds (Cancer)
ピアノってここまで暴力的な音塊を出せるんだな。圧巻だ。そこいらへんの……(ry
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で、この特異なサウンドを産み出した作曲家のインタビュー映像。
A conversation with George Crumb
物静かな学者って感じだ。なんだかそこいらへんの……(ry
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*1:Black Angels Thirteen Images from a Dark Land、1970